【説明動画あり】誰にでも輸血可能な「ユニバーサル血液」を作り出す研究が進む

血液型にはA型・B型・O型・AB型など複数の種類が存在しますが、重大な怪我を負った際や手術の際などの輸血の必要がある場合、患者の血液型に適した血液を使用しなければ体内で凝集が起き、最悪の場合は死に至ることもあります。しかし、「誰にでも輸血できる」というO型の血液の仕組みを利用して、A型やB型の血液をO型の血液に変換し、誰にでも輸血できるようにするという研究が進められています。

Gut bacteria provide key to making universal blood (video) | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-08/acs-gbp071218.php

災害などで緊急の医療事態が発生した場合、血液を供給するために「誰にでも輸血できるO型の血液」が多く必要とされます。そんなO型の血液を大量に確保するため、研究者たちはA型やB型の血液をO型のものに変換するための酵素について研究しています。

この研究に注力しているのは、ブリティッシュコロンビア大学で生化学の教授を務めるスティーブン・ウィザーズ氏が率いる研究チーム。ウィザーズ教授は「我々は赤血球からA抗原またはB抗原を除去する酵素に関心を持っています。単純な糖だけの抗原を取り除くことができれば、A型またはB型の血液をO型のものに変換することが可能です」とコメントしており、このコンセプトのもと、これまで血液型を変換することができる酵素を探してきました。

研究チームは血液型の変換に使える酵素候補を迅速に評価するために、メタジェノミクスを用いて生態学を研究しているとのこと。ウィザーズ教授によると、「メタジェノミクスを使用すると、環境からすべての生物をピックアップし、これらの生物のDNAをまとめて抽出することができます」とのことで、広範な生物を調査し使える酵素を探していることを明らかにしています。実際、研究では何百万もの微生物の遺伝子情報をサンプリングすることに成功しており、その中から大腸菌の糖残基を切断することができる酵素をコードする遺伝子を探しているとのことです。

ウィザーズ教授らは血液を分解する生物に着目し、それらのDNAをサンプリングしていたそうですが、最終的には人間の腸内細菌から探していた「効率良く血液型を変換できる酵素」を発見します。ムチンと呼ばれるグリコシル化したタンパク質は腸内の壁を覆っているのですが、これらは腸内細菌に糖を提供すると同時に、消化を助ける働きを担っています。

ムチンのいくつかはA型およびB型の血液内にある抗原と非常に構造が似ているため、研究者らは「腸内細菌がムチンから糖を摂取する際に使用する酵素」を研究することで、血液内のA抗原またはB抗原をより効率的に除去できる酵素を発見しました。なお、発見された酵素はこれまでの30倍も効率的に血液内のA抗原またはB抗原を除去してくれるとのこと。

記事作成時点ではウィザーズ教授は発見した酵素を検証している段階で、ブリティッシュコロンビア大学の血液研究センターと協力し、臨床試験に向けた調査を行っているそうです。また、研究チームはより効率的に糖除去酵素を作り出すことを目標としています。ウィザーズ教授は「もちろんこの酵素が有害な結果をもたらさないことを確かめるために多くの臨床試験を行わなければいけないことは明白ですが、これが非常に有望であることは明らかです」と語っています。

なお、この研究結果の詳細はアメリカ化学会が開催するフォーラムの中で発表される予定。以下のムービーでは発表に先立ち、A型およびB型の血液をO型に変えるというコンセプトおよび発見された酵素についての簡単な解説が行われています。

血液型を変換して誰にでも輸血可能な「ユニバーサル血液」を作り出すという試み
血液型にはA型・B型・O型・AB型など複数の種類が存在しますが、重大な怪我を負った際や手術の際などの輸血の必要がある場合、患者の血液型に適した血液を使用しなければ体内で凝集が起き、最悪の場合は死に至ることもあります。しかし、「誰にでも輸血できる」というO型の血液の仕組みを利用して、A型やB型の血液をO型の血液に変換し、...

 

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