sakamobi.com

ここは愉快なインターネッツですね

日本政府、「サントリー」をブラック企業に認定

   

サントリーグループで「外回り業務」に是正勧告 外回り営業に蔓延する違法状態

3月29日、サントリーグループの自動販売機オペレーション大手・ジャパンビバレッジに対して、労働基準監督署が是正勧告を出したことが報道された。これは、同社に勤務する労働者が労働組合・ブラック企業ユニオンに加盟し、団体交渉と労働基準監督署への申告を行なったことによるものだ。

このケースは単なる労働基準法違反が問題になっているわけではなく、特に注目したい事件だ。

同社は自動販売機の補充などを行う労働者に対して「事業場外みなし労働時間制」という「定額働かせ放題」の制度を適用していたのである。「事業場外みなし」とは、外回りの営業などで、労働時間の把握が困難な場合に一定の時間働いたものと「みなす」制度だ。

「働き方改革」法案の高度プロフェッショナル制度や裁量労働制が「定額働かせ放題」の制度として話題になっているが、「事業場外みなし」制は、これらと極めて類似した制度である。

本記事では、今回の事件を通じて、裁量労働、高プロ、事業場外みなしといった「定額働かせ放題」の制度が、どのように違法に悪用されてしまうのかを解説していこう。また、この制度はすでに広く普及しているので、何が違法となるのかを確認することで、労働者にも経営者にも、違法状態を改善する材料としてほしい。

休憩なしで自販機補充・荷物積み込みで1日17時間労働
今回問題になったのは、株式会社ジャパンビバレッジ東京の足立支店だ。同社で勤務する30代のドライバーAさんがブラック企業ユニオンに相談し、団体交渉と並行して労働基準監督署に申告したことで発覚した。

同社は、サントリー食品インターナショナルグループ傘下のジャパンビバレッジホールディングスのグループ企業である。ジャパンビバレッジグループには全国に、北海道、東北、関東、東京、中部、関西、中国・四国、九州、沖縄などのグループ企業があり、支店は合わせて115支店、従業員数は約5000人に上る。

では、この業界大手のグループ企業で、Aさんはどのような勤務をしていたのだろうか。

典型的な業務スケジュールは以下の通りだ。7時35分ごろに営業所に出勤、着替えて7時45分ごろにタイムカードを切り(本来、着替えの時間も労働法上は労働時間となる)、5~10分程度でそのまま自動販売機の補充に向かうためにトラックに乗り、8時前後に営業所を出発する。この時点から「事業場外みなし」労働時間制が適用されていた。

Aさんの担当するコースでは、1日18台~20台の自販機を訪問する。通常の作業内容は商品の補充や集金、賞味期限が切れる商品の管理、自動販売機横のゴミの回収、新商品を入れ替える「商品施作」が中心だ。

これに加えて、自動販売機を設置している顧客からのクレーム対応(「商品が切れている」「機械の調子が悪い」など)に追われる。時期によっては「冷温切り替え」(春と秋、各2~3ヶ月程度に渡って行う)や、自販機内の商品を抜き取って数を数える棚卸し業務を並行して行わなければならず、その業務量は膨大になる。休憩も取れず、車を運転しながらコンビニで買った食べ物を口に詰め込むくらいが関の山だ。

こうした業務が終わり、営業所に戻ると20時ごろになってしまう。しかも仕事はこれだけではない。営業所に戻った後も、回収した自販機のゴミ捨てや翌日の補充作業のための商品の積み込み、当日の業務の報告などがある。全ての業務が終わる頃には21時を超えることも頻繁にあり、忙しいときは22時を回り、最長で23時になったこともあった。

朝から1日16~17時間の長時間労働である。月の残業時間は長いときで100時間を超える。このような過酷な労働が続いた結果、Aさんは過労で病院で点滴を受けるまでに疲労してしまい、ブラック企業ユニオンに相談することとなったのだ。

1日12時間の外回りでも、残業代はゼロ
では、同社では「事業場外みなし」労働時間制がどのように悪用されていたのだろうか。

ここで改めて、「事業場外みなし」労働時間性について説明しておこう。

「事業場外みなし」労働時間制が適用されると、1日何時間働いたとしても、あらかじめ労使で決めた「みなし労働時間」分を働いたとみなされる。例えばみなし労働時間が1日8時間であれば、実際に何時間残業したとしても、残業代を払わなくて良いということになる。この制度は、専門業務型裁量労働制・企画業務型裁量労働制と並んで、労働基準法38条で定められた3つの「みなし労働時間制」のうちの一つである。

裁量労働制が、労働者の業務遂行に「裁量」があるとされる場合に適用される一方で、「事業場外みなし」労働時間制度は、業務の全部又は一部を事業場外で行う場合、その労働時間の算定が困難である場合に限り、適用できる。外回りの営業が典型的な適用例だ。

しかし、事業場外みなし労働時間制は、現在ではすっかり時代遅れの制度となっている。というのも、事業場外で勤務していたとしても、携帯電話で常に指示を受けるなど、使用者の指揮監督が及ぶ場合については、労働時間の算定が可能であるとして、適用が違法となるからだ。

裁判例もすでに多く出ている。これだけ通信機器が発達した現在において、同制度を適法に活用することは容易ではない。この問題については、2年前に積水ハウスの事業場外みなし制が問題になったときに記事にしたので、参照してほしい。

外回りの営業社員にも残業代が払われる!?

では、ジャパンビバレッジ東京の実態はどうなっていたのだろうか。

Aさんの場合は、朝8時ごろに営業所を出発して、補充作業などを終えて20時ごろに営業所に戻るまでの間に、事業場外みなし労働時間制が適用されていた。この間、約12時間連続で労働するのだが、同社の「みなし労働時間」は7時間45分。実に1日4時間ほどの「ただ働き」が、連日「一見すると合法的」に行われていたことになる。

しかし、Aさんの勤務には、外回り時に行う業務(特に顧客からのクレーム処理)を会社から携帯電話やメールで頻繁に指示される、会社が保存するデータによって外回り中の行動内容が詳細に確認できるという実態があった。これらを総合的に判断し、足立労働基準監督署は労働時間の算定が「可能」であるとして、制度の運用を「極めて問題」として、過去の同制度の適用を無効と判断したのである。このため、時間外労働が同社の36協定で定められた上限・月45時間を大きく上回ることとなり、労働基準法32条違反(違法な時間外労働)として、是正勧告が出されたのだという。

裁量労働制の3倍、全企業の12%で適用される「事業場外みなし」
このように、ジャパンビバレッジ東京の今回の是正勧告は、典型的な「事業場外みなし」労働時間制の違法な利用である。同社の悪用自体に問題があるのはいうまでもないが、この制度自体が機能不全を起こしているともいえよう。

しかも、この「事業場外みなし」労働時間制を導入している企業は決して少なくない。2017年の厚労省調査によれば、「事業場外みなし」労働時間制を適用する企業の割合は、全企業のうち12.0%と、実に1割以上の企業に及んでいる。現在話題になっている専門業務型裁量労働制・企画業務型裁量労働制を合わせた3.5%の3倍以上となる。

厚生労働省「平成29年就労条件総合調査の概況」

これは、裁判で争えば違法になる可能性が高い制度であっても、誰かが告発しない限り、労働基準監督署が自動的に調査するなどして、問題になるわけではないという実態をよく示している。

今回のジャパンビバレッジ東京に関しても、担当の労働基準監督官によれば、同社に対してこれまでも労働基準監督署が調査をしたことはあったが、事業場外みなし労働制を違法と判断したことはなかったという。このため、同社は今回の是正勧告に対して監督官に抵抗したそうだが、今回はAさんの持ち込んだ証拠や証言した実態が決め手になったものと思われる。

同じように、高度プロフェッショナル制度や裁量労働制などの「定額働かせ放題」が違法に適用された企業に対して、労働基準監督署が制度を無効であると判断することが非常に難しいだろう。結局は、「被害者自身」が権利主張するしかないのである。

おわりに
本記事で見たように、多くの事業所で適用されている「事業場外みなし」の多くは違法状態にある。

本文で述べたように、この状況は、労働者の側が自ら訴え出ることなしに改善することは難しい。逆に、もし訴え出ることさえすれば、多額の不払い賃金が回収できると言うことだ。もし不当な状況にあっていれば、外部の専門窓口に相談することをお勧めしたい(下記に無料の相談窓口も紹介している)。

無料労働相談窓口
NPO法人POSSE

03-6699-9359

soudan@npoposse.jp

総合サポートユニオン

03-6804-7650

info@sougou-u.jp

http://sougou-u.jp/

ブラック企業ユニオン

03-6804-7650

ブラック企業被害対策弁護団

03-3288-0112

ブラック企業被害対策弁護団 仙台

022-263-3191

https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20180403-00083500/

 

>自動販売機の補充などを行う労働者に対して「事業場外みなし労働時間制」という「定額働かせ放題」の制度を適用していた

やっぱ自販機かぁ(;・∀・)

関連コンテンツ ユニット



 - ニュース, ネット