孫正義が語る「超知性時代に生き残れる人」の分岐点

孫正義が語る「超知性時代に生き残れる人」の分岐点

30年後、あなたは何をしているか

ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏が、2時間以上という長時間にわたって語り続けた貴重な講演録。
最後に孫氏が聴衆に伝えたのは、10兆円ファンドで目指す壮大な構想の内幕。そして、これからやって来る「超知性時代」に生き残れる人材像についての話だ。

会社をどんどん作る

<携帯キャリア事業で大成功した孫正義氏だが、一通信事業者で終わるつもりはないと言う。いま取り組んでいるのは世界中の成長著しいベンチャーに投資をする「ビジョンファンド計画」。その資金調達をめぐる驚きの秘話を明かした。>

いま、ソフトバンクは続々と世界のナンバーワン企業の筆頭株主になっています。上場前のユニコーンの筆頭株主になっています。今後は彼らとジョイントベンチャーを続々と作ります。

日本の通信をやっている宮内(謙・ソフトバンク社長)たちと一緒に、みなさんに期待するのは、Yahoo! JAPANのようなジョイントベンチャーを続々と国内で作っていくことです。どんどん作っていきたい。

さらに私自身はグローバルに打って出て、世界の筆頭株主になっていきたい。もちろんみなさんの中で、世界で活躍したいという人はそちらのほうの我々のグループにも入ってほしい。これらのユニコーンをバンバン育てていきたい。

1分1000億円のプレゼン

そのためには、資金が必要でした。その資金を集めるのにサウジアラビアやアブダビだとかと交渉しました。アップル、クアルコム、フォックスコン、シャープなど、こういったところにも一緒に資金の参加をしてもらいました。

これからみなさん、いろんなプレゼンを作ったり、営業したりするでしょう。その結果、どれほどの成果を得られるか。

私の記録は1分1000億円です。みなさん、1分で1000億円手にできますか?

言っとくけど簡単じゃないよ。おそらくギネスブックに載るぐらいの記録じゃないかな。私はサウジアラビア政府の投資部門に対して、45分かけて4.5兆円の調達をした。

初めて会ったんです。もらっていた時間は15分だけ。最初の2分くらいでガツンと掴んで、15分のアポが45分まで延長された。

最後には4.5兆円をコミットしてもらいました。「1ヵ月後にサウジにきて、それまでに細い点を双方詰めて、そこで覚書に調印する」と言ってくれたんです。

もちろん我々自身も3兆円投資します。さらにアブダビ、アップルなどからも資金を集め、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは合計で10兆円の資金を用意しました。この10兆円というのは簡単に思うかもしれないけれど、全世界の、すべてのベンチャーキャピタルを足した総合計が7兆円です。我々は1社で、1発目で10兆円。

一発逆転とはこのことを言うわけです。

人工知能を甘く見るな

孫氏はみずから思い描く「未来像」についても具体的に話した。たとえば、「30年後には人類はほとんどの分野で人工知能に勝てなくなる」と言う。

さて、今日のスピーチの冒頭で、マイクロチップの写真をみて感動したという話をしました。実は人間の脳細胞は0と1の組み合わせです。みなさんの頭には脳細胞ということでニューロンが入っています。ニューロンというのは人参に生えているヒゲのようなイメージです。

このニューロンがくっつくと弱い電流が流れて1になり、離れると0になる。まったく同じ機能をやっているのがトランジスタです、つまり、マイクロコンピュータのなかにはトランジスタがあって、くっついた離れた、電流が流れた流れない、ゼロイチの組み合わせですべてのプログラミングがなされている。

このトランジスタの数が脳細胞のニューロンの数を超えるのはいつだろうかと、私は20年前に推論しました。そのときは2018年だと結論づけました。どこかのスピーチのなかにもあります。実際に2018年になって、ついにトランジスタが1チップの中に300億個という時代がきたわけです。

予測通り、脳細胞の数とトランジスタの数がクロスオーバーする年が今年だったんです。あらゆるところで毎日のように人工知能のニュースがでてきますが、これからますます加速していきます。

でも、人間の脳のほうがまだ賢い部分もある。でも、囲碁は負けた。天気予報も人間は負けている。部分的に人工知能のほうが人間のチャンピオンよりも強くなってきたということが言えます。全部の分野で人間の脳を超えた訳ではありません。でも、安心するのはちと早い。

30年後に人間はなにをすべきか

なぜならば、今から30年後にどうなるかということだからです。ムーアの法則で、1.5年後ごとにだいたいトランジスタの数は倍になっています。

30年後には今から約100万倍になっている。いまは1チップのなかに入っているトランジスタの数と、我々の大脳のなかにあるニューロンの数がクロスオーバーしただけなので、部分的に負けているだけで済んでいる。

ただ、30年経ったら敵は100万倍になるわけです。そういう時代がきたならば、1チップのコンピューターと人間の脳細胞のどちらが強いか。たいていの分野で抜かれるんです。

ほとんどのジャンルで人間の知恵は、人工知能の知恵に敵わなくなっていくわけです。だから、今年になってクロスオーバーしたことは重要なことではないんです。

30年後になったときに、さて人間は何をすればいいのか。人間にとっての仕事とは何か。

今日の2時間というのは、みなさんにとっては案外重要な2時間だと思うんです。僕は毎日こういった話をしているわけではないんです。ここまで深く2時間みっちり話すのは久しぶりです。今日はラッキーだと思ってください。

使う側になれ!

でも、考えてください。30年後といったら、みなさんはまだ50歳ですよ。

30年なんてあっという間です。30年で我々の知能を超える人工知能の時代がやってくる!

そういった時代にただの部品屋でいいのか。ただの組み立て屋でいいのか。

もっと知恵を使わなくちゃいけない。これをむしろチャンスとして捉えて、新しい時代のけん引役になっていかなければいけない。

なんとなく怖い時代かもしれません。使われる側にとっては見るのも恐ろしいと感じるでしょう。ただし、使う側にとっては絶好のチャンスです。

どうせなら使う方の側にいたくはないか。

そういうことを僕は言いたいわけです。我々グループは群戦略で、これからやってくる超知性の時代をあらゆる角度で捉えようとしているわけです。

ビル・ゲイツの知能指数

間もなくやって来るシンギュラリティ時代にしっかりと備えよ――孫氏は学生たちにそう語りかける。

知能を測定する指標としてIQというものがあります。平均的な人が100です。200あったと言われるのはアインシュタインやダヴィンチです。彼らは天才と呼ばれました。100と200は倍ぐらいしか違わないですね。もちろんIQだけで知性や知恵をはかれるわけではないと思います。もっと深い知恵の部分のほうが重要だと思います。

ビル・ゲイツの自宅に、私の娘と行ったことがあります。

娘はまだ中学生で、ビル・ゲイツに色々と質問していたんです。希望するアメリカの大学に行くためには何点取ればいいですかという質問を娘がしたとき、「アメリカの共通一次みたいな試験を受けなければいけない。800点満点で700点とか取ればハーバードやスタンフォードとかに行けるよ」と答えた。

あなたは何点だったんですかと娘が尋ねたら、「あれは重要な試験じゃないと思っているけど、一応800点だった」と言いました。そしたら、娘はとても感動していた。

「あんな試験で800点取るには訓練さえすればいい。だから大したことじゃないんだ。本当はもっと深いことを洞察できる知恵を持っている奴のほうが重要だと思うけどな」と、さらにビル・ゲイツは言ったんです。娘はますます感動してしまった。

もちろんIQだけではないんですが、今から30年後には超知性のIQは1万になっている。どうやって数えたんですかという質問は僕にしないでください。だいたい大雑把に測っているんです。少し数字が違ってもどうでもいい誤差でしょう。

ソフトバンクの入社試験に出る言葉

僕が言いたいのは、100とか200で凡人か天才かと比べる次元ではなく、それをはるかに上回る超知性が生まれるということです。

IoTの時代になると、一人あたり100個くらいの超知性を持つことになるかもしれない。IoTに組み込まれているチップ自体は通信をするだけですが、その先のクラウドにあるのが超知性なんです。

この超知性とIoTが繋がると、クラウドにある超知性を運用することになるから、結局それらも超知性を持った形になる。ARMはそれらのチップを1兆個配りまくって、それをビッグデータ化して、さらにそれを人工知能に入れる。いま言っている超知性は一言でいうとシンギュラリティと言うわけです。

シンギュラリティという言葉を知っている人は手をあげてください。8割くらいの人は知っていますね。同じ質問を3年前にしてもだいたい1%でしょう。この3年間で1%から80%に上がりました。こういう重要なキーワードというのは2〜3年で一気に広がっていくんですね。

だから、ソフトバンクの入社試験があるとするならば、この言葉は必ず試験に出ると思ってください。

こういった超知性が、自家用車1台よりも安い値段で購入できるスマートロボットに搭載される時代がやってくる。まさにウーバーが試みているようなスマーロボット化が、絶対に事故を起こさない時代をもたらすでしょう。

様々な姿形のスマートロボットが展開される。空を飛んだり、海を潜ったり、道を走ったり。それらのスマートロボットの数は人口を超える。100億台の時代がやってくる。世界にスマートロボットがありとあらゆるシーンにやってくる。こういった場合、あらゆる産業が再定義されていく。

メディカル業界、建設業界、不動産業界、交通業界など、ありとあらゆる産業に影響をもたらす。

IoT、AI、ロボット

シンギュラリティになると3つ生まれます。

IoT、AI、スマートロボットです。

この3つでありとあらゆる産業が再定義されていく。我々のビジョンファンドはこの3つに、戦略的に群戦略を作りにいきます。

そうすると、事故のない世界がやってきます。

人々の平均寿命は100歳を超える時代がやってきて200歳も夢ではないかもしれません。未来を予測できる世界がやってくる。

ロボットと人間が一緒に共存、共栄する、そういった時代がやってきます。我々の世界を襲ってきているウイルスや災害など、今までの人間の叡智で守ることができなかったことから超知性が守ってくれる。

がん、白血病、HIVなど、いま人間が治すことができない難病から人間を救ってくれる。

超貧困の生活をしている人々が平均的な生活ができるように助けてくれる。

そういうような新しい時代がやってくることを僕は信じています。考えてください。僕がやりたいことは、単なる通信事業だけではない。通信事業も続けますが、僕がやりたいのは情報革命です。ソフトバンクがやりたいのは情報革命です。

何のために? 超知性は人々を虐めるためのものではありません。人々の笑顔のため、人々に幸せになってもらうために超知性を開発するんです。人生で何を成すのかを今日の冒頭で問いました。ぜひ考えてもらいたい。人生で一番大切な質問だと思います。

みなさんが未来を担う

<孫氏は最後にスピーチをこう締めくくった。>

とにかく僕は捧げたいんです、自分の人生を。人々の笑顔のために。

誰の笑顔のためか? 家族であり、社員であり、お客さんであり。もっと言うならば、ソフトバンクの名も知らない女の子の笑顔のために。そんな笑顔のために人生を捧げたい。

みなさんが未来を担います。その人生で何を成すのか。ピアノが欲しい、車が欲しい。そんな小さな夢だとつまらなくないか。何のための人生か。

志高く、人々の笑顔のために、人生を捧げることができるのならば。

もし一緒にみなさんが、僕と力を合わせて、世界中の同志と、情報革命を共にする仲間たちと、小さな女の子の笑顔のために残りの人生を捧げることができるならば。

僕は、幸せな人生だと思うんですね。

もちろんソフトバンクだけではないです。今日は2時間同じ空気を吸いました。別の会社に行ったとしても、別の人生を歩んだとしても、みなさんの気持ちがほんの一瞬でも同じ方向を共有できたならば、それだけで僕は幸せだと思う。さらに一緒に仲間としてやれたら幸せだと思います。

今日は言いたいことを言い尽くしました。

(『ソフトバンクキャリアLIVE』の講演にて)

孫正義が語る「超知性時代に生き残れる人」の分岐点(マネー現代編集部) @moneygendai
いまもっとも忙しい経営者と言われる孫正義氏が、2時間以上という長時間にわたって語り続けた貴重な講演録。今回明かされるのは、いまソフトバンクが取り組み「ビジョン・ファンド」の本当の狙いと舞台裏。さらに、孫氏は人工知能が人間を超えていく時代が来ると断言したうえで、「超知性時代」に生き残れる人材像について語り尽くす。

 

「30年後には人類はほとんどの分野で人工知能に勝てなくなる」

わいも30年後の自分を考えると不安で不安で昨夜も9時間しか眠れなかったわ…(;´Д`)

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