【悲報】若者が憧れる声優業が悲惨なことになってる・・・

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若者が憧れる声優業 「1本1万5000円」の仕事にすらほとんどがありつけない

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ひとり売れっ子がいればビジネスとして成立するイメージがある芸能事務所と違い、大ヒットアニメの主要キャストに名を連ねる声優が所属していても、声優事務所は経営が立ちゆかなくなるものらしい。『鬼滅の刃』禰豆子役の鬼頭明里や『トロピカル~ジュ!プリキュア』キュアサマー役のファイルーズあいなど人気声優が多数、所属する声優事務所「プロ・フィット」が2022年3月プロダクション業務を閉鎖すると発表した。俳人で著作家の日野百草氏が、子供がなりたい職業の上位常連となった「声優」というお仕事と事務所の厳しい現実について元マネージャーに聞いた。

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「みなさんが思うほど声優事務所って儲からない、大手でも本業だけでは厳しいです」

かつて声優事務所で営業を担当していた元マネージャー氏に連絡をとった。ほぼ10年ぶりの再会だがいまはIT関連企業のエンタメ系コンテンツに携わっている。担当する作品の絡みもあって、マネージャー業を離れた今も声優事務所との付き合いは多い。同じく筆者もこの業界に関わってきたため、氏を補足する形で本稿を進める。

「若手の人気声優がいても本業の稼ぎは思うほどではありません、必然的に事務所の上がりも少ないわけです」

氏の語る「本業」とは所属声優のエージェンシー業務とマネジメント業務を指す。しかし人気声優がいるから儲かっている、人気アニメのメインを何人も抱えているから儲かっているというほど簡単ではない。

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「まず声優事務所の取り分が少ない。一般的な芸能事務所なら半分、お笑い系の大手ならもっと持っていきます。でも声優事務所の多くはそこまで取らない。事務所や案件にもよりますが2~3割でしょう。手数料程度という場合もあります」

一般的な芸能事務所の取り分は少なくて4割、多いと9割くらい持っていく。大手芸能事務所がいわゆる闇営業騒動の中、会社と所属芸人とでギャラの取り分の暴露合戦に発展したケースは記憶に新しいが、経営側の5対5から6対4という言い分と芸人側の1対9というのはおそらく、どちらの言い分も合っている。大物や売れっ子は前者、新人や売れない芸人が後者と推測するが、事務所に強く出られる芸能人は当然、取り分も高くなる。

「抜き分を多くできるのはタレントのギャラが高い、これに尽きます。芸能人と声優では最初から設定されたギャラが違いますからね、こればかりはどうしようもない」

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テレビアニメは人気があってもギャラが上がるわけではない
とくにテレビではタレント枠とその他で出演料が大きく違う。たとえば、同じ作品に出演しても、誰もが知る人気若手声優が1万5000円で、ゴリ押しというだけの新人タレントが10万円といったケースはごく普通である。なんだか身分差別のようだが大学教授や作家、何かの専門家といった文化人枠というのも信じられないほど安い。昨今、タレントを減らして文化人や声優を起用する番組が増えたのも、コア視聴率重視への移行と同時にテレビの経費削減という面も大きい。1988年、永井一郎氏が「磯野波平ただいま年収164万円」という雑誌記事を書いたが、多くの声優の待遇はその人気と知名度ほどにはいまも変わらない。

「芸能人と声優の差はやはり事務所の力、バックについた業界の力がモノをいいます。声優事務所なんてどんな大手でも芸能事務所に比べたら吹けば飛ぶような中小零細ばかりですからね、狭い業界ならともかく、巨大メディアに対しての力なんてたかが知れてます」

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アニメやゲームの好きな方々からすれば逆だろうが、声優事務所はたとえ大手でも芸能界でくくれば小規模事業者であり、その扱いは出入りの裏方業者に近い。

「人気の若手声優を抱えれば儲かると思うでしょうが、ランクの問題で安いまま据え置かれますからね、その間はランクに縛られないゲームやイベント、アイドル売りなら楽曲や物販で稼ぐしかない。事務所としては若くして売れてくれて嬉しいところですが、とくにテレビアニメは人気があってもすぐ新人のギャラが上がるわけではないですからね」

日俳連(日本俳優連合)に加入している声優事務所はランク制に縛られる。所属声優はどんなに人気があっても、大ヒットアニメの主役であっても3年目までは1本(※一話あたり)1万5000円と決められている。最近のテレビアニメは1シーズン12話、約3か月放送されることが多いが、仮に12話全話に出演すると18万円になる。当たり前だが、1話30分の収録を30分で完了できることはないので、1本あたりの拘束時間はそれなりに長い。ここまでは純然たる出演料のみの話で、これに放送時間や目的の利用率などの上乗せがあるので実際はもう少し貰えるとはいえ信じられないほど安い。

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公的な統計は無いため筆者の経験上の知る限りでしかないが、声の仕事で年収400万円あればたいしたプロの声優だと思う。多くは若手を中心に200万円から300万円といったところ、それに満たない声優は声の仕事以外で生計を立てている。もちろん売れっ子になれば若手で年収500万円、スターなら1000万円を超える声優もいるが、個人事業主で国保も年金もすべて自分持ちの自営業と考えればとてもその業界のスター、まして声優の人気や地位と比例しているとは言い難い。これが続くとも限らない。

「普通の社会人並みに稼ぐ声優すら全体から見たら少ないです。その年はよくても次の年にはわかりませんし、安定なんて声優である限り無縁でしょう」

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事務所としてはテレビアニメは宣伝、顔見せみたいなもの
いわゆる長者番付、国税庁が高額納税者名簿を発表していた時代、当時日本一売れていた人気女性声優が年収7000万円(推定)でランクインしたが、1990年代後半の古いデータとはいえ現在もこれは声優として破格の記録だろう。彼女の人気はアニメ声優であることが基本ではあったものの、ミリオンヒットが連発されていた1990年代に、発売するCDがオリコンチャート上位常連の人気アーティストとなっていたことの影響が大きい。アーティストとしての歌唱印税やグッズ展開もなく声だけの仕事で高額納税者に名を連ねることは間違いなく不可能だ。

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「大物芸人の年収が10億とか、それって大手声優事務所の年商レベルですよ。声優界では大手でも世間的には中小企業です。大手芸能事務所のように都心の一等地に巨大な本社ビルを建てるような稼ぎはありません。稼げる声優は少ないですから事務所の取り分も芸能プロのようにはいかない。日々の細々とした仕事の積み重ねが現実です」

会社の年商で10億などまさしく中小企業、実際の声優事務所の売り上げはもっと少ないところばかり、2013年、声優事務所のラムズが破産したが2006年時点で年商6億5000万円、所属声優やアーティストの独立や多角経営の失敗で破産に至ったが、あれだけの人気声優とアニソン系アーティストを擁しながら最盛期でそのレベルである。ましてラムズは制作会社でもあった。それはともかくランク制、当時は平等なシステムだったのかもしれないが、30年間変わらない日本の平均賃金じゃあるまいし、ちょっと安過ぎやしないか。

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「でもね、ランク制の廃止は難しいと思います。製作側からしても良い制度ですからね。必要以上に払わなくて済むわけですから。事務所としては、テレビアニメ出演は売り出すための宣伝、顔見せみたいなものですね」

だから声優事務所にとってゲームは稼ぎ頭、ゲームのジャンルによってはランク制が適用されるものの実際は緩い。人気声優はその人気相応のギャラで交渉できる。テレビアニメでは新人(ここでは便宜上の意味で使う)は主役でも端役でもランクが同じならギャラはほぼ同額だが、ゲームは一文字いくらのワード単価、もしくは収録時間による拘束料となる。指名の多い人気声優を持っていれば事務所は強気に出られる。

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「ゲームはもちろんですがナレーションの仕事も事務所の柱です。CMなどのナレーションをいかに数こなせるか、数引っ張ってこられるかは営業の腕の見せどころです」

ナレーションといっても様々だが、とくに商品紹介など宣伝販促に伴う企業案件は大きい。テレビコマーシャルから店舗案内、解説ビデオや啓発キャンペーンまで大小あるが手堅い仕事であり、声のプロを擁する声優事務所からすれば本業中の本業ともいえる。

「年齢を重ねても実力があれば一生食べていけるのはまさにナレ(※ナレーション)のことですね、一般のファンには馴染みないかもですが、事務所の経営に欠かせません」

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アニメやゲームで見かけなくても企業案件のナレーションを数多くこなすベテラン、その道の売れっ子ナレーターも存在する。ランク制も適用されず実力次第で旬や流行り廃りも少ない。将来的にはこうしたナレーションのプロを目指したいという若手も多い。官公庁や企業、団体、施設などのナレーション業は事務所にとって経営面でありがたい存在である。

「ドル(※アイドル声優)は旬がありますがナレで認められれば年をとっても食っていけます。ただし企業案件は老舗の事務所がガッツリ食い込んで強いですから、新参の事務所が数を確保するのは難しいですね、これも大手の強みです」

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その新参の声優事務所はどんな人が立ち上げているのかというと、独立した元マネージャー(営業)やコネクションを十分に蓄積したベテラン声優などが設立することが多い。大方は元の事務所の所属声優と独立するが、現実は厳しく営業の壁にぶち当たる。

「人気声優とバーターとか、社長がベテランの人気声優なら本人バーターとかでアニメやゲームは引っ張れても、企業案件や広告関係はなかなか食い込めないですね」

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声優学校が本業以上のドル箱になれば事務所経営は安泰
よくドラマやアニメでは、マネージャーはタレントのお世話係みたいに描かれるが、声優事務所の実態はかなり違う。声優事務所のマネージャーにとって、オーディションを除けば営業で所属声優の仕事を取ってくることが最重要である。仕事がなければ事務所も声優も食っていけない。常に新規開拓の姿勢が大事で、現実は某アイドル育成ゲームのような、降ってくる仕事をこなして体調管理とご機嫌取りでプロデューサー面していられるほど呑気ではない。仕事がないのは声優のせいだけではなく営業=マネージャーの責任でもある。

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「社長を含めたマネが営業下手とか、営業の甲斐なく廃業、解散という零細事務所もありました。他に行ける人はともかく、多くは自然廃業とか、引受先がなくフリーになってネットで仕事を募集するとかですね。人気商売でも底辺は事務所も演者も地獄ですよ」

氏の経験上の話だが、筆者もこれまで何度か廃業、解散した声優事務所を目の当たりにしている。突然廃業もあれば、所属声優の行き先を確保した上で廃業した事務所もある。突然廃業のパターンは、売上不振はもちろん経営者の不祥事(女性問題、ギャンブル)などのトラブルが多く、未払いのまま多くの声優が一時的に露頭に迷うケースもあった。じっくり準備した上での円満廃業の場合は経営者の高齢化や体調面、潰れるほどではないにせよ自転車操業に先を見通せなくなった、といったケースである。

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「(声優事務所としての)本業がイマイチでもうまくいくパターンもありますけどね、とくに声優学校、養成所ですね。あれが本業以上のドル箱になれば経営自体は安泰でしょう。所属の人気声優も学校宣伝のために使います。仕事のないベテランを講師にもできますし」

いまや養成所ビジネスが声優事務所を支えているといってもいい。声だけで食えているのは300人もいないとされる声優業界だが、毎年3万人以上が声優を目指すと言われている。そんな声優になりたいという若者はもちろん最近は40代の中高年からシニア層まで受け入れている学校がある。演技未経験で40代から職業声優になるのはシステム上もほぼ不可能だが、現実には「声優になれる」と全国各地で募集している。

「志望者は驚くほどいますが、ごく少数のエリートとその他の志望者は最初から内々に分けます。スターシステムに組み込まれる前者と本所属どころか声優そのものになれない後者ですね。残酷ですが、役者の世界はそういうものです」

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世の中は才能だけじゃやっていけないが、その才能があること、は大前提となる。演技や歌唱はもちろん容姿も才能、役者は不平等が当たり前の世界である。そしてほとんどは安いとされる1万5000円にすらたどり着けない。ランカーになれるか以前に、そもそも声優業につけない生徒が圧倒的多数である。

「でも少数の天才だけじゃ養成所ビジネスが無理なのも事実です。一般生徒というその他大勢も必要です。その辺を割り切れないと学校運営で経営を圧迫することもあります。少数精鋭の養成所は理想かもしれませんが、経営者の自己満足になりかねない」

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有望な生徒は無料か格安の特待生でその他大勢は大金を払う。プロスポーツを目指す若者と同様の残酷物語、しかし優勝劣敗の才能商売とはそういうことなのだろう。

「イベントや物販で稼げた事務所もありましたがコロナで難しくなりました。本業の声の仕事も同じくコロナで絞られて、声優はもちろん事務所も厳しい、元が安いですから」

近年、若手の人気声優は、週末ごとに何かのイベントやライブに出演するのが珍しくなくなっていた。テレビアニメの関連イベントだけでなく、ゲーム、ラジオ、事務所が企画プロデュースして開催するものなど様々だ。その種類も数も激増していたのは、本業であるはずのテレビアニメ出演だけでは、声優を支えるスタッフの仕事を維持するのに十分な収入が確保できないことが根本にある。結局のところ、安い原因は現場に金が降ってこないこと。声優事務所は一般的な芸能事務所のように取り分が大きくないと書いたが、これも良心的というよりは元から安いので大きく取るにも取れない、という意味合いもある。

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「私も演者ではないですが声優業界を去った口です。マネも給料安いですからね、ごく一部の大手、僅かな管理職を除けば男性が声優のマネージャーで家族を養って一生食べていくのは難しいでしょう」

社員すら芸能事務所と声優事務所では雲泥の差がある。この差はすべて必要な金が降ってこないことにある。芸能界という大きな括りから言えば声優業は上から下まで本当に儲からない仕事、声優業が好きだから、ただそれだけの情熱に支えられている。

実際の現場をまわし、人気を生み出す末端に金が降りてこない。テレビアニメなどその最たるものだ。結局のところ、アニメーターと同様に知らない誰かがいつのまにか金を抜いている。声の仕事に真摯に取り組み、共に作り上げた事務所は社長にとっても所属声優にとっても第二の実家、故郷のような存在だ。それがいくら努力をして勝ち抜いたとしても、人気を得たとしてもその人気ほどには演者も事務所も金銭的に報われない。そうして有望な組織が消えてゆく。声優が消えてゆく。

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小さな業界の出来事かもしれないが、これは日本の構造問題そのものでもある。作品の人気を押し上げる声優、その声優を育て上げる声優事務所ほどに、その抜いている連中に価値はあるのだろうか。優勝劣敗以前の構造的な問題は、日本が誇る「クールジャパン」を「チープジャパン」に変えて蝕み続けている。

【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。かつて1990年代から月刊「コンプティーク」を始め多くのアニメ誌、ゲーム誌や作品制作に携わった経験を持つ。近年は文芸、ノンフィクションを中心に執筆。全国俳誌協会賞、日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞(評論部門)受賞。著書『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社・共著)、『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)他。近著『評伝 赤城さかえ 楸邨、波郷、兜太から愛された魂の俳人』(コールサック社)。

若者が憧れる声優業 「1本1万5000円」の仕事にすらほとんどがありつけない
 ひとり売れっ子がいればビジネスとして成立するイメージがある芸能事務所と違い、大ヒットアニメの主要キャストに名を連ねる声優が所属していても、声優事務所は経営が立ちゆかなくなるもの…
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sakamobi
sakamobi

逆に景気のいい時期なんてあったの?
貧乏業界なのは有名だし、だから顔とアイドルノリで食いつないでるんじゃないの?😰😰😰

コメント