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自動運転 本当に安全?無人タクシーに乗ってみた

   

2020年7月、羽田空港ーーー東京オリンピックの観戦のために日本にやってきた外国人のカップルに、ゆっくりと近づいてくるタクシー。しかし、運転席にドライバーの姿はなく、カップルを乗せて自動で宿泊先のホテルに向かって走り出すーーー
こんな夢のようなサービスがあと2年で現実になるかもしれません。先月、自動運転技術の開発を進めるベンチャー企業が、日本で初めてドライバー席が無人のタクシーによる公道走行を公開しました。
自動運転の技術はどこまで進歩しているのか。そして安全性に問題はないのか。記者がタクシーに乗り込み、歩行者や車が行き交う一般道での走行を体験してきました。
(経済部記者 自動車担当 吉武洋輔)

無人車両が公道を走る

私が試乗したのは、ベンチャー企業「ZMP(ゼット・エム・ピー)」が改良した自動で走るタクシーです。先月、全国で初めてドライバー席を無人の状態にして公道を走る実験を行い、大きな注目を集めました。

フロントガラスの内側にカメラが装着され、車の4隅にはライダーと呼ばれるセンサーがついています。カメラは人間の“目”にあたる部分で、車、歩行者、信号、標識などを識別します。カメラだけでは周囲360度を瞬時に見渡すのは難しいため、センサーが補完します。センサーからは常時レーザー光線が出ていて、光の跳ね返りで車の横や後ろの物体を把握するのです。

自動で回るハンドル

試乗は、お台場エリアの一般道で行われました。歩行者のいない高速道路と違って、一般道は自動運転の実現が難しいと言われます。このため車両には、詳細な地図情報や事前にどこを走ってどこで曲がるといったルートが設定されています。

私はZMPの谷口恒社長と一緒に後部座席に乗せてもらいました。不測の事態に備えて、運転席にはドライバーが座った状態で実験が始まりました。 車が動き始めても、ドライバーはハンドルをほとんど触りません。斜めに曲がる道も、車線の変更も、ハンドルが自動でくるっとまわり、アクセルやブレーキも自動で調整されます。

人の手を使わなくてもここまで走れるようになったのかと感心していると、突然カクん、カクんとブレーキがかかりました。大きなトラックが車線を変更して目の前に入ってきたのです。カメラやセンサーがトラックの動きを感知し、車が自動で車間距離を保とうとしたのです。

その後、別の道に入ると再びカクん、カクんと、緩めのブレーキがかかりました。理由は、左の車線にずらりと並んだ路上駐車の車でした。駐車中の車が突然動き出すのではないかと、ブレーキをかけながら慎重に走行していたのです。実験車両は、過去2年間にわたる一般道の走行で、駐車中の車の動きや歩行者が飛び出す可能性があることを学習しているのだといいます。

事故多発の交差点では…

そして最大の難所、交差点の右折ポイントに近づきました。交差点は交通事故が最も発生しやすい場所で、緊張感が高まります。対向車線からは直進、左折、右折の車が次々とやってきます。車両はその動きを見ながら右折のタイミングをうかがい、ゆっくりと曲がっていきました。このとき、谷口社長がある画面を見せてくれました。

これは車内に搭載されていたモニター画面で、地図データの上に周辺の車や歩行者が写し出されています(ピンクの□=車、左右の小さい白の□=歩行者)。実験車両は、交差点の半径約50メートル、360度の歩行者や車両の動きを常に把握しながら右折しているというのです。

谷口社長は「人間のドライバーが首を振って周囲を確認しても50メートル先や360度を一度に見ることはできないが、自動運転車はそれが可能。“死角”を限りなくゼロにできる」と話していました。

アイコンタクトができない

ただ、問題もあります。こちらの映像をご覧ください。このベンチャー企業が別の実験中に撮ったものです。

車両が、一般道からホテルの敷地に左折して入ろうとしています。すると、勢いよく走って横切ろうする子どもの姿が見えます。ひやっとする場面ですが、車はブレーキをかけ、子どもが走り抜けたのを確認してから、ゆっくりと敷地に入っていきました。一見何の問題もないように見えますが、ドライバーがいない自動運転ならではの問題がありました。

それは「歩行者に“合図”を伝えることができない」という問題です。実はこのとき、運転席と助手席に乗っていた担当者たちが「どうぞ」という合図を手で出し、それを確認した子どもが再び走り出していたのでした。しかし、ドライバー席に誰もいなければ、こうした合図を出すことができません。

合図が必要なケースはほかにもあります。お店の駐車場から道路に出る時や、のろのろ運転で隣の車線に割り込みたい時には、走ってくる車のドライバーの意向を伺って相手のOKというしぐさ=アイコンタクトを確認し、こちらからも「入ります」という合図を伝えることで安全な運転ができます。ところが完全無人の自動運転の場合、こうした人間ならではのコミュニケーションはとれません。

谷口社長はこれらの問題を解決するために、“どうぞ通ってください”とか“入ります”などという無人車両側の意思を、車両の外面に表示することなどを検討しています。

2年後 スマホ1つで乗車

谷口社長は、この自動運転技術を活用した“無人タクシー”を2年後の東京オリンピックまでに実用化すると宣言しています。その時点では、どこでも走れる無人タクシーとまでは考えていませんが、羽田空港からお台場のホテルまで、といった区間限定のサービスは可能だと言います。

このサービスは専用のアプリで予約。スマホでかざして車のドアを解錠し、料金の支払いもスマホで精算する、まさに人が介在しないタクシーです。すでにアプリ開発も進めていて、今後、料金精算の実験も公開される予定です。

自動運転は何のため

“無人タクシー”に試乗してみて、自動運転技術の着実な進歩を感じました。ただ、今回は運転席にドライバーがいてくれたことで安心できた面は否めません。客を乗せて自動で一般道を走るためには、1つ1つの技術の精度を高め、安全性を確実なものにしていく必要があるでしょう。

自動運転に対しては「本当に安全なのか」「事故が起きたときの責任はどうなるのか」「運転できない車に魅力はない」など、さまざまな意見があります。

一方、交通事故による死者は、世界で年間125万人(WHO調べ)にのぼっており、いまも解決できていない社会問題です。日本では、免許を返納した高齢者が日常の買い物ができないとか、過疎地の生活の足であるバスやタクシーが維持できないという問題も生じています。

自動運転のそもそもの目的は、人間が犯す運転のミスをなくし、“交通事故ゼロ”を実現することであり、高齢者などの足になって“移動を制限される社会問題の解消”を目指すことです。そんな“夢の車”が現実になる日はそう遠くないかもしれません。

https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2018_0131.html?utm_int=news_contents_news-closeup_002

ここまで進歩しているとは驚き。でも「アイコンタクトができない」ってのはかなりの問題よね。特に歩行者とドライバーってアイコンタクトで行ったり行かなかったり判断することが多いからね。

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