「まずかったからタダにしろ」「カニで顔を殴られた」 客の“モンスター”クレーム 従業員7割が悩む

客の横暴がますますエスカレートしている。産業別労働組合のUAゼンセンが、タクシーやホテル、病院などで働く従業員ら約3万人にアンケートをしたところ、約7割が客や患者からの「悪質クレーム」に悩んでいる実態が明らかになった。精神疾患を発症した人もおり、深刻な実態に法規制を望む声も高まっている。(社会部 天野健作)

「水を入れて飲め、豚」と暴言

「だしがぬるく、交換を提案したところ、『水を入れて飲め、豚』とののしられた」

「客が完食後に『まずかったからタダにしろ』と言われ、断ったら怒鳴られた」

アンケートの自由記述欄には、従業員らの悲痛な声がつづられていた。

ゼンセンがこうしたアンケートをやるのは初めてではない。昨夏にはコンビニやスーパーマーケットなど流通・サービス業に限定して実施し、同じように約7割が悪質クレームに悩んでいた。さらに実態を解明するため、今回は対象業種を拡大して調査した。

調査によると、悪質クレームを受けたことがあると回答したのは約3万人中、約2万2400人。最も多かった行為(複数回答)は「暴言」が約1万4千件だった。「威嚇や脅迫」(約1万2千件)、「何回も同じ内容を繰り返す」(約8500件)が続き、「土下座の強要」も約1200件あった。

こうした行為への従業員の対応としては、「謝り続ける」(35・8%)か、「上司に引き継ぐ」(29・4%)が大半。「毅然と対応した」は24・4%で、4人に1人しかいなかった。

セクハラも横行

悪質クレームはとどまることを知らず、刑事事件になりかねない事例もある。

「持ち帰りした天丼のたれが車のシートにこぼれたから洗浄代を払え」というクレームがあった。たれがこぼれないようにするのは客の裁量であり、金銭を要求するのは恐喝罪に当たるだろう。

「焼きガニを提供していた従業員が、客に『焼きが悪い』と言われ、カニで顔を殴られた」というケースは、暴行罪にも当たる。

セクハラも横行している。

「性的な内容を我慢して聞いていたら、エスカレートして尻や胸などを触られたり、抱きつかれたりした」

「『肩をたたくのはセクハラにならない』と言いながら、意味もなく肩をたたかれた」

特に患者と接する機会が多い「医療・介護・福祉」の分野では17%の人がセクハラの被害に遭っていた。

こうした悪質なクレーム行為に、9割が「ストレスを感じた」と答えており、そのうち189人が精神疾患を発症しているという。

原因は「ストレスのはけ口」

なぜこのような横暴が増えてきたのか。

その原因について、約27%が「顧客のモラルの低下」を挙げたほか、「ストレスのはけ口になりやすい」(22・7%)、「従業員の尊厳が低く見られている」(17・9%)も多かった。

ゼンセンは8月、加藤勝信厚生労働相に対し、約176万筆の署名を提出。労働者を守るために事業者が講じるべき措置を定める法律の制定や、悪質クレームの実態調査を求めた。加藤氏は、まず実態調査をすると応じたという。

ゼンセン総合サービス部門の古川大事務局長は「クレームには企業の今後の発展に資するものも数多くある。しかし、度を超えた犯罪的なクレームを何とか抑止、撲滅したい」と強調した。

関西大の池内裕美教授(消費心理学)は「法律を制定して全国的に統一ルールをつくるのは難しいかもしれないが、自治体が条例を制定するなり、業界でルールをつくるなり規制が必要だ。そのためには、まず国を挙げて悪質クレームが問題になっていることを周知徹底するべきだ。消費者自身が怒りを抑え、寛容な心を持つことや、『賢い消費者』を育成するための消費者教育なども必要といえる」と指摘している。

「悪質クレーム」 明確な定義はないものの、業界団体には「社会常識や社会通念を大きく越える迷惑な要求」という共通認識がある。その中には、要求の内容自体は問題がないが、要求態度に問題がある場合▽要求態度に問題はないが、要求内容が受け入れられない場合▽これらの複合型-などさまざまな類型がある。脅迫や暴力、セクハラなど犯罪行為に該当するケースもある。

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飲食やサービス業も「悪質クレーム」には毅然とした態度を取るべき。それには上の人たちの認識が変わってくれないとね(;´Д`)

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