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政府「漫画村遮断して」ISP協会「え、無理。他の国でも裁判所の命令ならまだしも、行政判断で遮断してるとこなんてないよ」

   

政府「漫画村遮断して」ISP協会「え、無理。他の国でも裁判所の命令ならまだしも、行政判断で遮断してるとこなんてないよ」

2018 年 4 月 12 日
海賊版サイトへの対策として政府がブロッキング(接続遮断)を要請することについて
一般社団法人 日本インターネットプロバイダー協会
インターネット上の海賊版サイトによる著作権侵害への対策として、政府が ISP(インターネット接
続サービスを提供する電気通信事業者)に「ブロッキング」による接続遮断措置を要請する方向で検討
していることが報道されており、インターネット接続サービスを利用される国民の皆様からは、通信の
秘密、ひいてはプライバシーに関するさまざまな疑問や懸念が寄せられています。
皆様のご懸念のとおり、ブロッキングは ISP 事業者が権利侵害行為と一切関係のない人を含めて、イ
ンターネット接続サービスのすべての利用者を対象に、web サイトのアクセス先などを監視して、一部
の通信を遮断する方法です。これは電気通信事業法が罰則を伴って禁止する、通信の秘密の侵害にあた
る行為です。
唯一の例外として児童ポルノ流通防止対策のために行われているブロッキングは、児童ポルノが児童
への深刻な性的虐待の結果であり、一度画像が拡散してしまえば後から被害を元に戻す方法もないこと
に特殊性があります。このため、被害者の支援に取り組む団体、法学者、ISP 事業者など様々な立場の
構成員が長年にわたり慎重な議論を重ね、緊急避難にあたるものとして厳格な要件と適正な手続きのも
と、他の違法・権利侵害情報に広げないという条件で利用者の皆様のご理解を得ながら、ISP 事業者の
自主的な取り組みとして実施しているものです。当時の政府の立場も、通信の秘密への国民の懸念に対
して、児童ポルノ以外に要請を広げることはないというものでした。
今回の「要請」に法的根拠はなく、また、ブロッキング以外に取りうる手段などの議論を十分尽くし
たともいえない中で、事実上権利者団体と政府だけでの結論を押し付けることは、通信の秘密の最大の
当事者である国民の理解を得られるとは考えられません。
著作権侵害への対応が重要なのは当然ですが、より影響の少ない他の手段も考えられる中で、必ずし
も唯一残された手段とはいえないブロッキングを対抗手段とすることまでが現行法上許容されるとは
考えられません。また、政府(行政権)が特定のサイトへの接続遮断を求めることは、事実上、憲法が
禁止する検閲にあたるおそれさえ懸念されます。法的根拠のない政府の「要請」に適切な歯止めが働く
保障もなく、先行実施国でも著作権侵害に対するブロッキングは裁判所の判断に基づいて行うなど、少
なくとも民主的な国の中で、行政の要請に ISP 事業者が応じる形を取っているところはありません。
以上のとおり、著作権侵害への対策としてのブロッキングは、法的に許されないだけでなく、適切な
議論と手続きも行われておらず、かつ、これまでの国民、ISP 事業者、政府の間の信頼関係を政府の側
から一方的に壊し、ISP 事業者による今後の違法・有害情報対策への取り組みに対しても悪影響を及ぼ
しかねないのであって、断じて許されないものと考えております。
以上
(ブロッキングをめぐる問題点についての詳細は、別紙をご覧ください。)
(別紙)
1.通信の秘密と違法・権利侵害情報への対策について
わが国では表現の自由や通信の秘密が国民の憲法上の権利として保障されており、それを受けて
電気通信事業法も検閲の禁止および通信の秘密保護を定めています。
通信の秘密は、人々が誰からの干渉も受けることなく、他者と自由にコミュニケーションを図り、
いろいろな立場で情報を発信し、そして情報に触れるために、非常に重要な意味を持っています。
私たち国民が電気通信サービスを利用するとき、通信の秘密について意識することは少ないかも
しれませんが、電話やメールを使って誰かに心身の悩みを相談したり、交流サイトに自由に批評を
書き込んだりできるのも、通信の内容や通信の当事者が誰であるかといった秘密が守られることに
ついて、国民の信頼があるからです。
一方で、通信の秘密の保護が違法情報や他人の権利を侵害する情報の発信をも可能にしてしまう
場合があることも否定できません。
この点について法律の考え方は、まず電気通信事業者には通信の秘密を守ることを法律で一度義
務付け、そのうえで犯罪捜査や権利侵害の被害者の救済などのために必要な例外も法律で定めるこ
とにしています。
ここで重要なポイントは、電気通信事業者や政府(行政権)が通信の内容を調べたり、善悪を判
断するようなことは許されず、国会で定める法律や、それに従って行われる裁判所の命令によって
行われるようにすることで、表現の自由や通信の秘密とのバランスを取っています。
2.ブロッキングについて
他人の権利を侵害する情報の流通を防止すること自体は誰もが一致するところですが、その手段
はいろいろ考えられ、その中でまず行うべきは、侵害情報の削除や発信者の検挙など、権利侵害を
している者への対応を行うことです。
ブロッキングとは、これとは逆に情報の受信者が権利侵害コンテンツにアクセスできないよう、
ISP 事業者が利用者の同意を得ることなく、通信の経路上で一部の通信を遮断するものです。この
ために、権利侵害行為と一切関わりのない利用者の通信を含めて、web サイトへのアクセスなどの
通信先を常時監視することが前提となります。誰がどのサイトにアクセスしているかは重要な通信
の秘密であり、通信をつなぐ以外の目的で使うことは、電気通信事業法が禁止する通信の秘密の侵
害にあたります。
唯一の例外として実施している児童ポルノのブロッキングは、児童ポルノが児童への性的虐待の
結果であり、画像の流通自体が被害者の心身への深刻な被害をもたらすこと、一度画像が流通して
しまえば事後的に損害賠償などを得ても被害を元に戻すことがおよそ不可能なことなどから、利用
者の同意を得ずに通信の監視・接続の遮断を行える唯一の例外として、厳格な運用ルールを決めた
うえで、ブロッキングを実施しているものです。
このときの議論では、被害者の方を支援する団体および警察庁などの要請をきっかけに、法学者、
電気通信事業者なども含むさまざまな当事者がおよそ 2 年にわたって議論を行いました。
通信の秘密を侵害することは電気通信事業法違反として罰則の適用もあるため、刑法上の緊急避
難の 3 つの要件である(1)現在の危難の存在、(2)補充性(ほかに取りうる手段を尽くしたこと)、(3)
法益の権衡 をすべて満たすこと、具体的には(1)画像が容易に入手できる状態にあること自体が児
童の権利に対する現在の危難であること、(2)サーバの所在地が海外であるなどで削除要請や検挙が
奏功しない場合に限定すること、(3)児童ポルノの被写体となった児童が奪われる権利(心身への被
害により損なわれる権利)が、ブロッキングにより侵害される国民全体の権利(通信の秘密)を上
回る、または釣り合いうると考えられること、このような検討のうえで、緊急避難としての整理が
行われています。緊急避難の本質は無関係の第三者を巻き添えにすることであり、ブロッキングで
は侵害行為と関係のない国民の通信の秘密が犠牲になるのですから、簡単に適用できるものではあ
りません。
児童ポルノのブロッキングについては、様々な関係者で慎重な議論を重ね、児童への深刻な権利
侵害を何とか抑止するために、明確な法的根拠がない中で利用者全般の通信の秘密に対する懸念を
抱えながら、何とか国民の皆様の理解をいただけるものとして ISP 事業者が自主的に取り組むこと
になったものです。
3.著作権侵害コンテンツへのブロッキングの適用について
児童ポルノのブロッキングを検討する際には、対象が児童ポルノ以外の権利侵害情報に広がる懸
念が国民から多く寄せられていたため、この点についても検討を行いました。
この中で、著作権侵害へのブロッキングの適用については明確に否定されているばかりか1、総務
省における研究会においても、「ブロッキングが児童ポルノ以外の違法・有害情報に決して濫用さ
れないようにすべき」との考えが示されています2。
報道によれば、政府は今回のブロッキングを「緊急避難」と位置付けることを想定しているよう
ですが、本来違法な行為を他人にやらせるため、しかも法律を執行する政府の側から持ち出すこと
には違和感があります。前述した緊急避難の要件である危難の現在性、補充性、法益の権衡に照ら
しても、基本的に著作権は差止め請求や損害賠償により被害の回復が可能であり、法益権衡につい
ても人格権侵害の最たるものである児童の権利と財産権である著作権を同列に考えることはでき
ないことから、緊急避難の法理により利用者の通信の秘密を侵害することの正当化ができるとは考
えられません。
そもそも通信の秘密の侵害は違法行為であることはもちろん、電気通信事業者にとって通信の秘
密を守ることは利用者との最大の約束事です。これを政府の「要請」によって崩すことはできず、
法的にもブロッキングを行った ISP が電気通信事業法違反に問われるおそれがあります3。
また、人格権の最たるものである児童ポルノと財産権である著作権のブロッキングが法律上の根

1 安心ネットづくり促進協議会法的問題検討サブワーキンググループ報告書、2010 年 3 月
2 利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会 第 6 回会合、2010 年 5 月
3 電気通信事業従事者が通信の秘密を侵害した場合、3 年以下の懲役または 200 万円以下の罰金に処せ
られます(罰則・電気通信事業法 179 条 2 項)。一般国民からの刑事告発さえ懸念されます。
拠もなく許容されるとすれば、理論的にはあらゆる種類の権利侵害が政府の要請によってブロッキ
ングの対象となる可能性があり、その場合の影響も計り知れません。
このような懸念がまったく解消されないにもかかわらず、立法のプロセスを踏むわけでもないま
ま、政府の要請によってブロッキングの適用を児童ポルノ以外に広げてしまうことは、利用者の皆
様との信頼関係を著しく損ね、ともすれば法的な紛争さえ予想されるため、電気通信事業者が自主
的に取り組むよう政府が要請することには無理があります。
また、児童ポルノのブロッキングを要請された当時、警察庁をはじめ政府の立場は、児童ポルノ
以外に政府の要請を広げることはないというものであり、児童の被害防止に取り組む団体からも、
一般論として表現への規制につながる行為は反対であるが、児童ポルノについては例外としてブロ
ッキングを実現してほしい、との強い要望をいただいてきました。これをなし崩し的に広げること
は、児童ポルノに限定してブロッキングを容認してきた国民の信頼まで失うことになります。
わが国では違法・有害情報への対策は、電気通信事業者の団体と各省庁とが協力して作成したガ
イドラインが法律を補完する形で進められてきました。これは国民、政府、電気通信事業者の三者
の信頼関係の上で成り立つ、世界でも珍しい仕組みであると自負していますが、今般の強引な進め
方はこの信頼関係を政府の側から一方的に壊すものであり、違法情報や権利侵害情報に対する今後
の電気通信事業者の自主的な取り組みを阻害するおそれさえ懸念されるものです。
4.著作権侵害コンテンツのブロッキングの弊害について
著作権侵害コンテンツ、特に今回問題となっている漫画海賊版のコンテンツにブロッキングを適
用した場合、不用意にブロッキングの回避を試みることで、さらに危険な偽サイトに誘導されてし
まったり、有害なアプリをインストールしてしまうなど、さらなる危険にさらされる利用者が出る
ことが危惧されます。
5.政府がブロッキングを「要請」することについて
児童ポルノのブロッキングでは、議論のきっかけは政府の要請であるものの、具体的なブロッキ
ングのリスト作成や ISP 事業者での運用に当たっては、民間のアドレスリスト管理団体の設立など、
あくまでも政府の関与が及ばない方法により行ってきました。
今般報じられているように、政府(行政権)が具体的なサイトを指定してブロッキングを行うよ
う求めることは、通信の秘密の問題にとどまらず、事実上、憲法および電気通信事業法が禁止する
検閲にあたるおそれさえ懸念されます。法的根拠のない要請に適切な歯止めが働く保障もなく、諸
外国にも行政の要請で著作権侵害サイトをブロッキングしている例はありません。先行実施国はい
ずれも法律の規定(立法的措置)、または裁判所の命令(司法審査)に基づき行われています。
ブロッキングのような国民への影響が非常に大きい方法を検討するのであれば、ISP 事業者に法
的根拠のない「要請」を行うなどの方法によらず、その影響を一番に受ける国民に問題点を提示し
たうえで、国民の理解を得られる形での法制度化を検討するなど、十分な議論を行うべきです。

http://www.jaipa.or.jp/information/docs/180412-1.pdf

 

残当やな…

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