ローソン店員「助けて!コーヒーの手渡しに手間がかかりすぎるの!」 ローソン社長「手渡しを通じた心のふれあいが大事」

ローソン店員「助けて!コーヒーの手渡しに手間がかかりすぎるの!」 ローソン社長「手渡しを通じた心のふれあいが大事」

ローソン社長「まだまだ店舗は増やせます」

店舗数で業界3位のローソンは、今後4年半で4000を超える積極的な新規出店を進める方針を掲げている。人手不足や近隣店舗同士の競合など、出店を続けるデメリットとどう折り合いをつけるのか。三菱商事出身の竹増貞信社長に聞いた。

現場における人手不足の現状をどうみていますか。

竹増貞信氏(以下、竹増):僕らはフランチャイズチェーン(FC)契約を結ぶ加盟店さんと一体です。加盟店さんの悩みは僕ら(チェーン本部)にとっての悩みでもあるのです。だから支援というよりは、一緒になって解決していかなきゃいけない。そんなスタンスです。

ローソンには多店舗を経営して地域を引っ張ってもらうマネジメントオーナー(MO)制度があります(編集注:ローソンの地味な〈けれどすごい〉運営改革参照)。MOさんと相談していて分かるのが「やっぱりこの先、新たに労働力が増えることはもうない」ということ。となると我々が取り組むべきは店舗の生産性向上です。これは本部の責任。何としてでもやり遂げなきゃならない。

具体的には。

竹増:2015年10月末には半自動で商品発注が完了する「セミオート発注システム」の導入を完了させています。今年8月には店員の勤務スケジュールをタブレットで自動管理するシステムを導入しました。店員の数と業務量のバランスを「見える化」できるので、余分な勤務を減らしたり、逆に人手が足りない時間には着実にシフトに入ってもらったりできます。

「電子タグ×無人レジ」で店が変わる

電子タグ(RFID)を活用した、パナソニックとの共同実験も進めています。

竹増:実現すれば店舗のオペレーションががらっと変わります。たとえば深夜帯は無人レジに任せられます。コンビニにとって深夜は納品などの作業をしないといけない時間。レジはもうロボットに任せて、そのぶん店員は裏方の業務にしっかり集中しましょうよ、と。そんなチャレンジも可能になります。

電子タグについては2025年までに全商品に貼り付けるという目標を経済産業省などと掲げています。ですが、これはもっと前倒しする必要があります。

あとは、現在の店員さんにいかに定着してもらうか。店舗業務を理解してもらっている方に長く働いてもらえれば、やはり効率は高まりますから。

どんな施策がありますか。

竹増:やはり店員さん向け特典でしょうか。福利厚生ともいえますね。ローソンの店員なら、グループ会社のユナイテッド・シネマで映画を割引価格でみることができます。いれたてコーヒーの「マチカフェ」については、製品知識や接客に関する店員向けコンテストを開いていて、優秀な店員はブラジルのコーヒー農園を見学してもらう企画もあります。とにかく「ローソンって働いていて楽しいよね、やりがいあるよね、しかも特典も色々あるよね」ということを実感してもらいたいんです。

福利厚生以外では。

竹増:シニアの方や外国人留学生の中には、まだ「コンビニの仕事って難しいのでは?」と思っている方が多い。このハードルを下げる施策も進めます。

例えば。

竹増:ローソンの「まちかど厨房」はその一つです。店内キッチンで調理した弁当やサンドイッチを提供していて、18年2月までに全国4000店に導入する予定です。

従来、コンビニのアルバイトはレジ打ちから品出しまで総合的に働いてもらう場合が多かった。ですが、今後は厨房で調理だけを担当するバイトがいてもいい。レジ打ちや接客が苦手でも「裏方なら自分にもできるかな……」と考える人ってきっといますよね。

厨房で働いていると、レジ打ちしたり接客したり、楽しそうに店内で仕事している同僚の姿がちらちら目に入ってくるわけです。オーナーさんはその視線を逃さずに「興味ありますか」と誘導して、レジ操作を少しずつ覚えてもらい、次第に店内業務にも慣れていってもらう。そんな順番の採用の仕方も、今後はアリだと思うんです。お店で働く敷居をできるだけ低くする工夫ですね。

24時間営業、ローソンだけやめるわけには

さきほど「深夜帯は無人レジで対応」という話がありましたが、実現の目標時期はありますか。

竹増:地域にもよるとは思います。

既に実施している店舗もあるのですか。

竹増:いえ、まだです。無人レジが本格稼働するには、電子タグ(RFID)を効率的に貼り付ける必要があります。パナソニックとの共同実験ではRFIDの貼り付けは手作業でした。技術革新を進める必要があります。

24時間営業は、今後もローソンにとって必須なのでしょうか。

竹増:実は加盟店の意見も「YES」「NO」の両方あります。「YES」がまだ大勢ですが。

コンビニの商品が(搬入されたり検品されたり)大きく動いているのって深夜なんです。ものすごい量です。これを昼間にやるとコストがかかります。もし一部店舗でも24時間営業をやめれば、お客様からすれば「こっちのローソンは夜に開いているが、こっちのローソンは閉まっている」という状況になります。一方で「競合チェーンは全て開いています」となると、どう思われるか。きっと夜に閉まっているかもしれないチェーンには、昼間であってもあまり来てくれなくなりますよね。

10年以上も前、一部地域の加盟店が24時間営業をやめたことがありました。結果、昼間の売り上げも落ちたんです。その後オーナー自ら「やっぱりやりたい」と申し出があって、結局は戻したことがあったと聞きます。

セブンイレブンとファミマも24時間営業をやめた場合には。

竹増:全チェーンで一斉に24時間営業をやめるなら「あり」だと思います。

チェーン本部は「社会インフラ」を自任していますよね。

竹増:それも24時間営業を続けたい理由の一つです。16年春の熊本地震の際にも、ローソンは営業をやめなかったことで住民の皆さんの支持を得ました。物流網がやられて棚はすっからかんでしたが、それでもローソンの青いサインポールを目指してクルマがやってきて、駐車場で一夜を明かしていたそうです。

社会インフラだからこそ、人手不足や競争の激化で加盟店が疲弊していたり、オーナーの成り手も見つけにくかったりという現実は看過できないのでは。

竹増:オーナーの成り手という意味では、やはりローソンはマネジメントオーナー(MO)さんがいるのが強みですよ。MOさんって、たとえば10店舗経営していれば年商15億円ですから、地域のなかでは中堅企業の社長さんです。社会的な地位もあって、経済的にもしっかりした基盤を持っていますから。

こういう存在を増やしていかないと辛いですよね。いままでのように脱サラしたオーナーさんが、1店舗を経営して頑張っていきましょうという状態では辛い。昔は良かったですよ。ここまで密集して店が出ていませんから。けれどこれだけ競争が激しいなかでは、1店舗しか経営していないと、外部環境が変わったときにすぐ経営が揺らぐんですよね。

競合チェーンが横に出店すると、すぐに売り上げが落ちて、じゃあオーナーとしての生活はどうするんだと。一方で多店舗経営によって経営基盤が安定して、本部と一緒に闘えるようになれば長期戦に持ち込める。長期戦に持ち込めれば、勝てるんですよ。MOのような新しいコンビニオーナー像を作り上げていけば、まだまだ店舗網は広げられるのではないでしょうか。

日販はまだまだ伸ばせる

ローソンは引き続き積極出店を続ける考えです。中期経営計画では2021年度までに店舗網を現在より4000超多い1万8000店にするとしています。同じ中計では「日販向上」と「規模拡大」を成長に必要な両輪として掲げていますが、規模が大きくなれば日販(店舗あたりの1日の平均売上高)は伸び悩むのでは。

竹増:我々の業態が生まれた当初から、コンビニは「緊急需要」を取り込んできました。醤油が切れていた、トイレットペーパーがなかった……というときに、真夜中でも買える利便性を提供してきた。その後おにぎりで朝ごはん需要を取り込み、続いて(弁当などで)昼ごはん需要を取り込んできました。

ただ夕方以降については、これまでお客様はスーパーに足を運んでいた。ただ、これからは女性の社会進出がさらに進んで、家事にかける時間が少なくなってくる。すると夕方から夜間もますますコンビニが必要とされるようになります。「忙しいときは夕食もローソンでいいじゃないか」。そんな需要を取り込めれば、日販もまだ上げられます。

とはいっても、夕方から夜間にかけての商品強化でせっかく日販が上がっても、近くに新規出店が続いたらまたやり直しです。

竹増:いえ、まだまだ成長できます。女性だけじゃないですよね。シニア向けマーケットも大きくなっています。単に大きくなるだけじゃなくて、単身家族も増えている。クルマの免許も返上しなければならない中で、近くのローソンで毎日の買い物をしていただければ、需要はまだまだ伸びるはずです。店舗を増やしても、まだまだ日販には向上の余地があるんです。

コンビニ業界は飽和しているという見方もありますが、いかがですか。

竹増:朝・昼だけに注力しているようじゃ飽和ですよね。けど僕らには女性の社会進出や高齢化という追い風が吹いている。

全然飽和じゃないということですか。

竹増:まだやれると思います。

ところで、ローソンの加盟店オーナーさんに話を聞いてみると、いれたてコーヒーの提供方法が手渡しであることについて、不満が多いようです。手間がかかりすぎるということですね。

竹増:コーヒー、ね。それはビッグイシュー(重要な問題)です。もうだいたい結論は出ています。お客様を待たせたらいけない。この店じゃコーヒーは買えないなって思われたらダメ。だからセルフ式の提供に対応するマシンも用意を始めています。

でも、コーヒーの手渡しを通じた心のふれあい、心の接客が大事という思いは変わりません。ゆったりした時間が流れている店では、やはり「コーヒーをどうぞ、きょうお元気ですか?」っていうコミュニケーションを大事にしたい。地域ごとのニーズにもとづいて選べるようにすればいい。全店で一斉にセルフ式を止めることはしません。

うちのカフェラテは生乳100%ですよ。おいしいんです。僕、個人的に牛乳は苦手で飲めないんですけど、うちのラテだけは全然いけますから。

ローソン社長「まだまだ店舗は増やせます」 いれたてコーヒーはセルフ式の提供も開始
店舗数で業界3位のローソンは、今後4年半で4000を超える積極的な新規出店を進める方針を掲げている。人手不足や近隣店舗同士の競合など、出店を続けるデメリットとどう折り合いをつけるのか。三菱商事出身の竹増貞信社長に聞いた。

今のローソンのやり方だと混んでるのに前の客がコーヒー頼んだらイラっとするよね(;´Д`)

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