【驚愕】カラスさん、俺達より賢かった

カラスも「目上のカラス」に忖度する…知られざる社会模様

———-
先月、公園の水飲み場の栓をつついたり、ひねったりしながら水を出し、量の調節まで行う「天才カラス」が話題になった。いったいカラスはどこまで頭がいいのか。カラス研究者で東京大学総合研究博物館・特任准教授の松原始氏が、これまでの研究でわかっているカラスの知能について解説する。
———-

カラスといえば「賢い」鳥として知られている。とはいえ、相手は鳥だ。イソップ物語に、水瓶の水を飲むために石を投げ込んで水位を上げるカラスが出てくるが、いくらなんでもあれは作り話だろう……と思った方。実験条件下ではあるが、カラスは本当に石を放り込んで水位を上げる。

カラスの知能を紹介するエピソードは枚挙にいとまがない。

最近は慶應大学の樋口広芳教授が自分で水栓をひねって開けるカラスを観察し、報告している。レバー式の水栓を開けて水を飲むカラスは記録があるが、ひねって回すタイプ、というのは初めてだ。また、このカラスは水を飲みたい時と水浴びしたい時で水量を変えるという、大した知恵も見せた。つまり、「回す努力量に応じて水量が変化する」という関係性を見抜いた、ということである。

すべてのカラスが“技”が使えるわけではない
カラスがクルミを道路に置いて車に轢かせて割るのも有名だ。これも車が徐行する場所を選んだり、赤信号で停車中の車のタイヤの前に置いて来たりと、知恵の回るところを見せている。

ただし、こういった技は全ての個体ができるというものではないし、種類によっても違う。

日本にはハシブトガラス、ハシボソガラスという2種のカラスが繁殖しているが、水道の栓を回すのも、クルミを轢かせるのも、ハシボソガラスの方である。ハシブトガラスはそういう面倒なことをやりたがらない。また、クルミを轢かせるのは非常に難易度が高いらしく、親がやっていても子供が覚えるとは限らない。自分が車に轢かれる危険を考えると、難易度の割にメリットが少ないとも言われている。

カラスの知能を世界に知らしめたのは、ニューカレドニア島に住むカレドニアガラスだ。このカラスは野生状態で道具を作り、それを使って餌を採る。道具には何種類かあるが、枝を曲げたり、葉の一部を切り取ったりと、ちゃんと加工して使いやすくしたものだ。

例えば、朽木の穴の中にカミキリムシの幼虫がいる場合、カラスは棒状の道具をくわえ、穴に差し入れて道具を動かす。そして絶妙な力加減で幼虫をくすぐって怒らせ、棒の先に噛みつかせて釣り上げるのだ。また、出来のいい道具は木の上に置いておき、繰り返し使うことも知られている。

この能力は動物全体を見渡しても卓越している。最初、道具を使うのは人間だけの特徴と考えられていた。だが、動物による道具使用が知られるようになると、道具を作って使うのが人間の特徴ということになった。

ところが、チンパンジーも道具を作ることがわかった。枝を噛んで柔らかくしてから蟻塚に突っ込み、アリを釣って舐めたりするのだ。かくして、道具を使って道具を作る、つまり“メタ道具”の概念があるのが人間の特徴ということになった。どうも人間は自分だけの特権を残しておきたくて仕方ないようである。

とはいえ、人間にごく近縁なチンパンジーが道具を作ることは、まだ理解しやすいかもしれない。だが、カラスはいきなり、チンパンジーと並ぶ能力を発揮したのである。

カラスも「上のカラス」に忖度する
また、カラスは社会的知能が高いことも知られている。社会的知能とは、集団の中で他個体との関係を上手に捌く能力、いわば政治的なアタマのことだ。

カラス類は世界に40種ほどいるが、少なくともその一生の一時期は、群れを作る。群れの中には順位があるので、社会的な関係性というものもある。うっかり自分より強い個体に先んじて餌を食べてしまったりすると、攻撃を受ける恐れがあるわけだ。ということは、まず誰が誰かをちゃんと記憶し、その個体の順位を覚えておかなくてはいけない。

ハシブトガラスの研究から、彼らはかなりの数の個体の外見と声を覚えることができ、一声聞けば「ああ、あいつがいる」とわかることが示されている。ゴミを見つけて集まったカラスが「カア」「カア」と点呼を取るように一声ずつ鳴いていることがあるが、あれは本当に点呼になっているのだろう。

さらに、ワタリガラスの研究では、他個体のやることを見て行動を真似ることもわかっている。ここでいう「真似る」とは、相手の動きを完コピし、さらに行動の目的や理由を理解するという意味だ。これは人間にとっては当たり前のことだが、他の動物にとってはかなりハードルが高いようで、ごく一部の種でしか確認されていない(ちなみに、これができる動物の一つがタコ。タコは見かけによらず恐ろしく賢い)。

カラスは「羽毛のある猿人類」
多くの動物は「どこに注意を向ければいいか」を学習することはあっても、その先具体的にどうするかは、自分で試行錯誤して見つけ出している。

カラスが際立っているのは、先を読む能力だ。前述したカレドニアガラスを用いて実験を行うと、彼らは少なくとも3手先まで手順を読む。例えば、透明なパイプの奥に餌を入れ、手元に短い道具を置いておくと、カラスは「この道具では餌に届かない」と瞬時に見抜く。そしてあたりを見回して、別のパイプにもっと長い道具があるのを発見する。すると、短い道具で長い道具を引っ張り出し、長い方に持ち替えて餌を引っ張り出す。

このように、カラス相手に知的能力を調べる実験をやってみると、チンパンジーなど類人猿レベルの課題を次々とこなしてしまっている。そういう理由で、カラスはフェザード・エイプ、つまり羽毛の生えた類人猿とまで呼ばれている。知能の起源は様々だろうが、カラスについては、集団内でうまく立ち回ったり、オオカミなどの食べ残しを失敬するために捕食者の動きを読んだり(読み間違えると自分が餌にされる)する中で進化していったのだろう。

ハトにできてカラスにできないことも
一方、カラスにできないこともある。ハシブトガラスを用いた実験では、カラスは鏡に映った自分の姿を自分だと認識できない。

鏡に映った自分自身を他個体だと勘違いし、喧嘩を売る鳥はよくいる。だが、チンパンジーになると、鏡に映っているのは自分だと理解できる。本人に気づかれないよう、こっそりと体に汚れをつけておくと、鏡を見てそれに気づき、汚れを落とそうとするからである。アジアゾウ、イルカ、シャチもこれができる。

鳥の中でもカササギ、そして驚いたことに、時間はかかるがハトも同じことができる。さらに、ホンソメワケベラという魚も、同じ行動を見せることがつい最近わかった。そうすると、ハシブトガラスの能力はチンパンジーはおろかハトにも劣り、それどころか魚以下、ということになってしまう。

また、カラスだからと言って深読みしすぎるのも禁物である。カラスが雪の積もった屋根の上でフリスビーに乗って滑っている動画というのがYoutubeにアップされているが、あれは多分、遊んでいるわけではない。缶の蓋に乗って、つついて何か食べようとしているうちに滑り落ちてしまって慌てているように見えた。もっとも、雪の上でコロンと転がる動画もあり、こちらは「遊んでる?」と言いたくなる映像である。

動物の知能を「何歳なみ」と表現するのは正しい?
動物の知能を「何歳なみ」と表現することがあるが、これは正しいだろうか?
確かにカラスの知的能力は、その一部を切り出せば、人間の幼児に匹敵するほどである。小さな子供相手に3手先を読めといっても無理だろう。また、ワタリガラスは、餌を隠しているところを他人に見られた「かもしれない」という状況だけで、隠し場所を頻繁に変える。つまり、他人の目や他人の考えを想定しているように行動する。

自他の区別がちゃんとついて、相手の心理を読む能力は「心の理論」といい、人間も4歳くらいまではあやふやである。一方、カラスは鏡を見ても自分だとはわからない。数の概念も一応あるらしいという研究はあるが、どこまで理解しているのかは微妙だ。少なくともカラスが点呼をとって何羽いるか数えている、なんて観察はない。

ついでに、カラスは時々、「自分から相手が見えなければ、相手からも自分が見えない」と判断しているように振る舞う。「頭隠して尻隠さず」を本当にやるからである。このように、カラスの持つ知的能力は人間からするとチグハグなところがある。

動物の知的能力は、その動物の進化や生活史と共にある、生き延びるためのツールだ。カラスにはカラスが必要とする知性があり、人間とはパターンが違っている。うっかり「何歳児なみ」という表現をすると、その辺を見失うので、ちょっと注意が必要である。まあ、「あいつは人間には劣るけど○歳児くらいにはなるかなー」と評価したがるのも、人間の知能の癖なのかもしれないが。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190427-00063531-gendaibiz-life&p=1

 

sakamobi
sakamobi

>カラスはフェザード・エイプ、つまり羽毛の生えた類人猿とまで呼ばれている。

はえー😲😲😲

 

コメント