【どこまで持って帰れるの?】ホテルの備品を3人に1人が「持ち帰りすぎている」問題

ホテルの備品を3人に1人が「持ち帰りすぎている」問題

「ホテルに備え付けの備品は、どこまで持って帰れるの?」

ホテル関係の仕事をしているとよく尋ねられる質問だ。持ち帰りについて宿泊者は独自基準を持っていることも多く、ホテル側を悩ませることとなる。

「大袈裟だ」と思う方もいるかもしれない。ところが、大手ホテル予約サイトのHotels.comが2013年に世界28カ国、8600人以上を対象にアンケート調査をしたところ、全体で3人に1人以上、日本人に絞っても実に4人に1人の宿泊客が「持って帰ってはいけないもの」を持ち帰っていると回答したのだ。

「消耗品」の範囲
さて、冒頭の質問にもどろう。答えは簡単。基本的に「消耗品」は持ち帰っても大丈夫というのがルールだ。

たとえば浴室などにあるアメニティ類。シャンプーや石鹸、ボディソープ、ブラシ、髭剃り用のレザーなどは持ち帰ってもよい。ただ、中にはボトルに入ったボディソープやシャンプーの中身を全部抜き取る、ティッシュボックス内のティッシュを全部持ち去る猛者がいる。これはおやめいただきたい。

宿泊者が持ち帰ってよいかよく迷うのが、パジャマ、タオル、バスローブなどのリネン類のようだが、これはダメ。ホテルではリネンは繰り返し洗濯して使っている。「記念品に」などといって旅行鞄にしまい込むのはおやめいただきたい。

ドライヤーももちろんNGだ。昔はホテルのドライヤーは洗面室などに壁付けにして盗難にあわないようにしたが、今はそのまま置いてある場合が多い。ドライヤー自体の価格が安くなったせいもあるが、置いてあるからといって持ち帰ってよいものではない。

これは明らかに窃盗だ
最近はベッドサイドの時計がパネル式ではなく、普通の置き型の目覚まし時計を備えるホテルが増えているが、これも持ち帰りはNG。まだベッドサイドの置き型目覚まし時計が珍しかった頃、あるリニューアルしたホテルの客室に設置したところ、毎日5個くらいがなくなった。コンパクトでちょっとおしゃれな時計だったせいか、バッグに入れて気軽に持ち出す客が続出したのだ。時計にホテル名を入れるのもいやらしいので、時計にチェーンをつけてベッドとつなげてしまうことで持ち帰りを防いだものだが、チェーンごと引きちぎられたこともあった。これは明らかに窃盗だ。

「ありがとう。助かったよ」
リネン類や時計などはまだ序の口だ。

少し昔のことだが、ある朝、ホテルのフロントに宿泊のお客様から電話があった。かなり大きな荷物があるので台車で部屋から運ぶのを手伝ってくれないかとの要望だ。そこでホテルスタッフが倉庫から台車をとりだして部屋に伺うと、段ボールに入った大きな荷物が鎮座している。これは大変でしょう、ということで一緒にウンウンいいながら台車に積み、車までお運びした。ホテルスタッフはお客様に寄り添いお役にたつ。お客様からは「ありがとう。助かったよ」のお言葉。ホテルスタッフが自分の仕事に一番の喜びを感じる瞬間だ。そして笑顔でのお見送り。

ところが、部屋の清掃係から思わぬ報告があった。なんと部屋にあったテレビがない!

“お客様”が運び出したのは客室内にあった大型のテレビだったのだ。当時はブラウン管仕様のテレビだったから重量もあり、ひとりで運ぶのには難儀だったのだろう。その作業をホテルスタッフに命じて運び出す、とんだ猛者がいたものだ。

テレビは最近では液晶テレビが主体になった。従来のブラウン管テレビよりもはるかに軽くて薄い。これはもっと危険。多くのホテルが対策として、テレビ配線はワイヤーにする、テレビ台座に固定するなどして盗難防止に努めている。

支配人から耳を疑うような報告が…
テレビは特殊な例かもしれないが、実は利用者が帰ったあとのホテルでは多くのものが紛失している。

京都にあるホテルの大浴場のリニューアルを行った時の話。最近はホテル内に大浴場を設けて、宿泊客に1日の疲れをとっていただこうというホテルが増えている。その大浴場のリニューアルにあたって、入浴後にマッサージチェアなどで寛げるスペースを設置することになった。

京都の雰囲気にあわせて和風モダンな設えとし、箱庭を設け、薄明かりの中、それぞれのスクリーンで仕切られたスペースにマッサージチェアを設え、女性の方でも浴衣姿を気にすることなく、マッサージを楽しめるリラクゼーションスペースとしたのだ。

また、京都に宿泊する利用者はビジネスホテルであっても観光目的の方が多いので、大きめのテーブルと椅子、それに雑誌などが飾れるマガジンラックを設け、京都の写真集や旅関連のガイド、京料理の書籍などを備えていつでも自由に閲覧ができるようにした。さらにラックの上にはおしゃれなスタンドと京都らしく短く切りそろえた若竹を小洒落た花瓶に挿してあしらった。

もともと人気があった大浴場にリラクゼーションスペースが誕生し、狙い通りお客様には大好評。その反応にホテルスタッフの士気も高まった。

ところがオープン1週間後、ホテルの支配人から耳を疑うような報告があった。

「牧野さん、マガジンラックにあったガイド、雑誌、書籍全部なくなりました」

実はリニューアルを計画している時にも多少の紛失は予想していたのだが、いちいち雑誌や書籍にまでホテル名をつけるのは、図書館みたいで野暮だからということで目をつぶっていたのだが、まさか1週間で全滅とは。

これはもう確信犯だ
さらに翌週には花瓶に挿してあった若竹が全部なくなるという事態に発展した。いったいどうやって持ち出すのだろうか。お客様みんなに喜んでもらおうとホテルスタッフがお寺に行って譲り受けてきた若竹だというのに。これはもう確信犯だ。

数週間後、さらに私を驚愕させる報告があった。

「牧野さん、花瓶が割れてます」

あまりの持ち帰りの多さに困惑した私たちは、今度は花瓶があぶない、ということで実は花瓶の底を接着剤で棚に固定しておいたのだ。その花瓶が割れている。

おそらく、お客様は(この際どろぼう様といったほうがよいのかもしれないが)花瓶を持ち帰ろうとした。けれども花瓶は固定されていて動かない。そこで思い切り棚から引き剥がそうとしたのだろう。花瓶は粉々に割れてしまったのである。

「ホテルの洗面所はお湯も出るし、水道代もタダやねん」
“お客様”の盗人ぶりは客室内のみならず、ホテル内のどこでも如何なく発揮される。

宴会場フロアのトイレではよく、ブース内のトイレットペーパーが根こそぎ持ち去られることがある。監視カメラを備え付ける案も検討されたが、特に女性用トイレでは別の意味で設置が難しいとの結論になった。また、ある関西のホテルでは毎朝宴会場のトイレにやってきて洗濯をする近所のおばちゃんがいた。自宅でやらずにホテルで洗濯。「ホテルの洗面所はお湯も出るし、水道代もタダやねん」。何度注意してもやめない。丁寧に説明しておひきとりいただこうとしたら、

「あんたらしつこいね。警察呼ぶぞ」

と逆ギレされる始末。

なぜ、宴会場フロアがよく狙われるかといえば、宴会場は大抵の場合昼から夜にかけて使われ、逆に朝は閑散としているために、忍び込みやすいというわけだ。

忍び込みやすいのはホテル厨房も同様だ。厨房には朝から夜まで多くの仕入れなどの業者が出入りする。調理場のスタッフは目の前の調理に夢中になっているので、人が入ってもあまり注意を向けない。顔を合わせても「ちわーっす」とでも挨拶すればだれも疑わない。ついでに調味料をとられても気が付かないし。プレートに並べた美味しそうなカナッペを口に入れたとしても気が付かれることは稀なのだ。ホテルスタッフは館内のどこでも、知らない人はお客様だと思っているので基本疑うことを知らない。

お客様はホテルにとって神様だ。しかし、同時にどろぼう様にもなりうるのだ。今日もホテルから満足顔でチェックアウトするお客様、宴会場や厨房から笑顔で出てくるお客様の中にどろぼう様が潜んでいるかもしれない。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190226-00010839-bunshun-soci

 

sakamobi
sakamobi

札幌のホテルがウォシュレットとテレビとベッドと金庫と椅子とテーブルを持って行かれてニュースになってたな。こういうのってほとんど中国人観光客だろうけど(;・∀・)

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