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「G-SHOCK」ブームが再来。過去最高の出荷数、5万円前後の大人価格が売れている

   

「G-SHOCK」ブームが再来。過去最高の出荷数、5万円前後の大人価格が売れている

過去最高!「Gショック」ブーム再燃の裏側 5万円前後の「大人価格」が売れている

カシオ計算機(以下、カシオ)の「Gショック」は、言わずと知れた定番の人気時計だ。日本中がブームに沸いた1990年代を懐かしく思い出す読者も多いのではないだろうか。

当時のブームのピークは、年間600万個を出荷した1997年だが、なんと今、Gショックは当時を越える勢いで売れている。2013年度の出荷数は650万個、2014年度は730万個と2年連続で過去最高を記録。そして今年度も800万個と3年連続更新を見込んでいるという。これはもう、ブーム再来と言っていい。

■「陸・海・空」のプロも納得の本格仕様
まず、昔と比べ興味深いのは、人気価格帯の変化だ。1983年の発売当時は約1万円、1990年代ブームの時期でも1万5000円くらいが売れ筋だったが、最近では5万円前後という“大人価格”のものが好調だという。中でも今、人気なのが、「MASTER OF G」シリーズだ。5万~10万円のアナログタイプのラインナップ強化が奏功し、2014年の年末商戦では昨年比2倍の売り上げになったという。

Gショックのウリである「タフネス」をさらに追求し、陸・海・空、それぞれの過酷な環境下でも耐えうるプロ仕様の時計をコンセプトとしている。デジタル時計においては、1990年代から潜水用防水機能がついた「FROG MAN」など「~MAN」と名付けたプロ仕様の人気モデルは既に存在していた。このアナログ版を作り、改めて「陸・空・海」という切り口でまとめて訴求し始めたのが同シリーズだという。

アナログタイプには「陸の覇者(MUD MASTER)」、「空の王者(GRAVITY MASTER)」、「海の強者(GULF MASTER)」と、3つのラインがある。新規開発にあたっては、レスキュー隊や船乗り、イギリス空軍といった現場のプロに、彼らが求めるスペックをヒアリングしたというだけあり、特殊機能がスゴイ。

例えば、「陸」は、ジャングルや砂漠、あるいは災害救助など土砂や瓦礫が積もる場所での使用も想定し、砂・埃・泥の侵入を徹底的に防ぐ構造を開発。さらに方位・気温・気圧・高度などが確認できるセンサーも搭載した。このセンサーは「海」にもついており、「海」はさらに潮の満ち引きがわかる機能などを備え、環境変化の激しい海上任務も遂行できる工夫を施している。

そして「空」は、航空機内での使用を想定し、遠心力・衝撃力・振動力に耐えうる構造を実現。2都市の時刻を同時表示する機能の他、世界6局の標準電波とGPS衛星電波を両方受信し、どこにいても正確な時刻表示を叶えるという世界初の機能も搭載した。

同シリーズは、他にも、視認性や判読性を追求したライトや針など、細部に渡りこだわりがちりばめられている。

■大人の男性を魅了するワケとは?
商品名や宣伝文句の印象が強く、実力が追いつかないモノも多くある中、これだけコンセプトと中身の一致を追求した商品も珍しい。しかし、購入層は必ずしも「陸・海・空のプロ」ではない。例えば「海」は釣り人に人気があるように、オフの日につけたい人や、こだわりのある人などの購入が多いようだ。同社時計事業部で商品企画を担当する齊藤慎司さんは、「一般的なビジネスマンにはオーバースペックなのですが」と笑い、こう続ける。「プロ仕様だからこそ安心して使えるということで、支持をいただいているのでは」。

そもそもGショックは、消防士や警察官、軍関連など、屋外で働くプロたちから絶大な信頼を得てきた。筆者の知人の建設現場関係者も、「現場は皆Gショック。自分も15年以上使っているけど、とにかく丈夫。雨天でも使えるし、バックライトも夜間作業に重宝」と話す。このように長年プロが認めてきた腕時計が改めて「プロ仕様」にこだわったということで、同シリーズは注目度や信頼感が一層大きくなっているとみられる。

また、「この世界観に共感してくださっている方が多いのだと思います」と、齊藤さんはヒット要因を分析するが、コンセプト作りとともにその演出がとってもウマイ。同シリーズのウェブサイトを見たとき、筆者は「覇者・王者・強者って何かのゲームですか?」と苦笑してしまったが、その言葉を裏付ける機能説明を始め、映画のような映像を眺めているうちに「うわあ、カッコイイ」と、すっかり魅了されてしまったのだ。

「男の世界」というより、「男の子の世界」。「サバイバル」「過酷な任務」「メカ」といった少年漫画のようなインパクトのあるイメージが広がっているが、こうした少年心をくすぐる演出は、男性ならば皆テンションが上がってしまうのではないか。本能を刺激しつつ本格仕様である点が、大人の男性の物欲を揺さぶるのだろう。

■高級感溢れるメタル系も人気
スーツにも似合うメタル系モデル「MTG-G1000D」も、16万円(税抜)と高額ながら、昨年9月の発売以来、好評だという。熟練職人が揃う山形県の工場でほぼ手作業で組み立てられているという、高度な技術が詰まった逸品だ。海外の高級時計のようなビジュアルでありながら、前述の「空」と同様に3つの衝撃に強く、GPS衛星電波と標準電波を両方受信するなど最先端の技術を搭載し、タフネスとファッション性を両立させた。メタルと樹脂を組み合わせ、フィット性にも配慮しているので、フルメタルの時計よりストレスなくつけられるのも特徴だ。

1990年代のGショックブームを青春時代に経験した世代は、今や30~40代。「この層が身に付けられる大人向け商品を」という狙いと、「Gショックを改めて深く知ってもらいたい」という思いなどから、こうした高機能・高価格モデルのラインナップは強化されているという。しかし、これだけの技術進化には、ワケがある。1990年代のブーム終焉の教訓が背景にあるのだ。

Gショックは、1983年に独自の「耐衝撃構造」をウリにデビューした。だが、国内では薄型の腕時計が流行しており、ゴツイ外観は時代錯誤に映ったようで当初は売れなかった。一方、アメリカでは大ブレイク。きっかけは、パック代わりにGショックを使ってアイスホッケーをするCMだ。あるテレビ番組が検証実験したのだが、本当に壊れないどころかトラックが轢いても壊れなかったため、全米で話題となり大ヒットとなったのである。

その後、1990年代に入りアメリカ西海岸のスケーターたちに支持され、彼らのストリートファッションが日本の雑誌で紹介されたことを機に若者の間で人気に火が付いた。1997年には、過去最高となる600万個の出荷を達成。ところが、ここをピークに急激に失速し、2001年には売上が3分の1まで落ち込んでしまった。齊藤さんは、当時のブームをこう振り返る。「カラーバリエーションや限定モデルなどファッション性で流行していたので飽きられた。また、海外モデルの多くを外国に出かけた日本人が買っていて、海外での売り上げも実質的に日本人消費だった」。

■「タフネス」への原点回帰
このブーム終焉の猛省から、カシオは改めて「タフネス」の追求に注力した。「落としても壊れない丈夫な時計」――Gショックプロジェクトは、開発者の伊部菊雄さんが提案書に書いたこの一行からスタートしたというが、この原点がブランドのアイデンティティであると再確認したのだ。耐衝撃性はもちろん、機能、外観、素材、操作性とあらゆる側面から見直しを図り、「タフ」を追い求めた。

また、世界の時計市場の9割がアナログということもあって、カシオは10年ほど前から全社的にアナログへのシフトを進めており、今ではGショックも7割をアナログが占めるそうだが、この戦略も当たった。「もともと得意なエレクトロニクス技術をアナログに組み込むことで、他にはない時計になった」(齊藤さん)。こうした背景から、新たなファンを一気に増やした電波ソーラーを始め、今回紹介した売れ筋モデルに搭載されているような様々な機能が生まれていったのだ。

高機能・高価格の大人向け商品を強化する一方で、プロモーションにも注力した。2008年から若者カルチャーと関連させたイベント「ショックザワールド」を世界各地で展開。目的は、「タフネス」を再訴求してブランド価値を確立することだ。伊部さんが開発ストーリーを語るなど「Gショックとは何か」を伝える前半と、Gショックファンである現地アーティストのライブを行う後半の2部構成で、重要なファン作りの場になっている。

このように、色々な方向から地道にまいた種が開花し、Gショックは復活を果たしたという。過去、時計事業の年間売り上げは、Gショックブームを除けば700億円あたりを推移していたが、Gショックの復活が牽引し、2014年度は1530億円と過去最高を記録。第一次ブーム時とは売れ方も代わり、今は特定の国に偏ることなく全世界で売れるようになったそうだ。

ブームによる浮き沈みを経験した若手が今は上に立つ世代になり、当時の教訓は下の世代に受け継がれているという。そして今も昔も変わらないのは、風通しの良さ。営業、デザイナー、技術者など、様々な担当から企画の声が上がる。時計事業部の共有意識について、齊藤さんはこう語る。「タフネスは必ず進化させていく。また、『面白いかどうか』という視点も大切にしています」。

2013年に30周年を迎えたGショック。そういえば、筆者の父も夫も愛用者だ。今3歳の息子も10代になる頃にはGショックを欲しがったりするのだろうか。これからも世代や国境を越え、100年ブランドへと進化していくタフネスを、私たちに見せ続けてほしい。

http://news.infoseek.co.jp/article/toyokeizai_20160317_109335/?p=1

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