イルカも物忘れしているかも。野生動物でも初めてアルツハイマー病の痕跡が発見される

イルカも物忘れしているかも。野生動物でも初めてアルツハイマー病の痕跡が発見される

物忘れに悩むのは人間だけじゃないかも。

おしゃべりができるとか、脳ミソがシワシワだとか、人間とイルカってけっこう似てるなあと思ってたんですが、このたび新たに悲しい共通点が判明しました。最新の研究によって野生のイルカの脳にもアルツハイマー病の痕跡が発見されたそうなんです。

アルツハイマー病はごく最近までヒト特有の病気だと考えられてきました。それをくつがえす新事実が発表されたのは今年8月。アメリカのケント州立大学がチンパンジーの脳を調べた結果(動物園や研究所での飼育下で自然死した個体に限定)、はじめてヒト以外の生物にもアルツハイマー病の痕跡が発見されました。さらに10月に発表されたばかりの研究では、医学者、獣医学者、神経科学者の研究チームが野生のイルカの脳にもアルツハイマー病の痕跡を発見したと、米アルツハイマー病協会の月刊誌「Alzheimer’s & Dementia」に報告されました。

研究において、オックスフォード大のSimon Lovestone教授率いる研究チームはスペインの海岸に打ち上げられて死んだ野生のイルカを調査しました。すると、イルカの脳に「アミロイド斑」と「タウ・タンパク質のもつれ」の両方が確認されたそうです。このふたつが出そろうと「疑いの余地のない」アルツハイマー病のサインとなるそうで、教授いわく野生の動物の脳に確認されたのは今回がはじめてだそうです。

ちょっと耳慣れない「アミロイド斑」ですが、別名「老人班」とも呼ばれ、脳の神経細胞の間に β(ベータ)アミロイドというタンパク質の破片が異常に蓄積してできるもの。脳が若くて健康的なうちはβアミロイドをどんどん分解していけるのですが、アルツハイマー病を患うとβアミロイドを適切に分解できなくなり、神経細胞間にアミロイド斑がどんどん溜まって細胞と細胞との情報伝達の邪魔をしてしまうそうです。

さらにやっかいなことに、アミロイド斑の形成は「タウ」と呼ばれる別のタンパク質のねじれを引き起こすそうなんですね。タウの崩壊は、すなわち脳の神経細胞の崩壊を意味します。もともとまっすぐだったタウがねじれると、脳細胞が必要としている養分などが行き渡らずに死滅してしまうからです。このふたつがアルツハイマー病特有のサインであることは明白なものの、そもそもアルツハイマー病がどのように起こっているのかはわかっていません。

発症の原理はわからないものの、発症の可能性を高める危険因子はいくつか特定されています。Alzheimer’s Assosiationによれば、その中で最もよく知られている危険因子は加齢だそうです。大半の動物は繁殖期を終えると寿命が尽きるのに対し、人間は繁殖期をすぎた後も長く生きます。平均寿命が延びて人間の老いのプロセスが長期化するとともに、アルツハイマー病にかかる可能性も高くなるのかもしれません。

人間と同様、イルカとシャチも長生きすることで知られています(面白ネタ:シャチにも閉経があるそうな)。ラブストン教授がイルカに着目したのには理由があったんですね。そして今回、読みが当たって見事イルカの脳にアルツハイマー病を発見したわけですが、アルツハイマー病のイルカに実際に遭遇したわけではないので、アミロイド斑やタウのねじれがどのようにイルカの認知能力に影響するのかはまだ未知数です。

ところで、なぜ人間とイルカは高齢まで生きられるのでしょうか。そのカギを握っているのがインスリンというホルモン。インスリンは血中の糖度を抑制する働きをしていて、「インスリンシグナル伝達」と呼ばれる複雑な化学反応を起こします。このインスリンシグナル伝達に変化が生じると糖尿病を引き起こすといわれていますが、同時に人間の進化の過程で寿命を延ばす働きをしたとも考えられているそうです。そして、イルカにも人間と同じようなインスリンシグナル伝達が確認されているそうです。

人間も、イルカも、インスリンシグナル伝達が変化したおかげで長寿を手に入れたはいいものの、同時に糖尿病やアルツハイマー病に罹患するようになってしまったのでしょうか。今後アルツハイマー病がどう発症するかを研究する上で、今回の発見は大きなヒントとなりそうです。

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イルカが人に近い言語能力を持つことが分かった物忘れに悩むのは人間だけじゃないかも。おしゃべりができるとか、脳ミソがシワシワだとか、人間とイルカって...

(´・∀・`)ヘー

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