【衝撃】カプコンCEO、最高益になった理由を語る「ガチャは顧客から搾取するだけ」

会議の資料は数字だけ カプコン創業者のリスク管理術
カプコンの辻本憲三会長兼CEO(上)

「ストリートファイター」や「バイオハザード」など、世界で通用するゲームソフトを数多く生み出してきたカプコン。辻本憲三会長兼最高経営責任者(CEO、78)が一代で育て上げた。20代で始めた駄菓子屋をきっかけに娯楽業界に入り、変化の激しいゲーム業界を生き抜いてきた経営手腕に迫る。

■綿菓子の製造機にゲーム事業の原型

――最初の社長業は20代だったそうですね。

「働きながら高校の定時制課程を卒業した後、叔父から菓子の卸売りを任されました。1960年代前半のことです。でも初めての商売ですから当然うまくいきません。夏場の品質管理に失敗したり、スーパーマーケットにお客を取られたり。多額の借金をつくってしまい、3年ほどで店を畳んで大阪で駄菓子屋を始めました」

「人に頼まれ、カネを入れて自分で綿菓子を作る機械を店先に置いたところ、子供たちの長蛇の列ができた。これが今につながる大きな転機となりました。子供たちは綿菓子が欲しいのではなく、綿菓子を作る過程が面白かったんですね。カネを入れて遊ぶ、つまり形のないものを売るという、現在のゲームソフト会社につながる発想を得ました」

「もちろん、その頃はゲーム機なんてありません。当時、娯楽の主役はパチンコ。改造パチンコ機を買い、全国の漁村を回って商店に置かせてもらいました。農家は収穫時期が決まっていますが、漁師は日銭が入るからです。自分でカネを出して失敗しながら、何が売れるのか、どうすれば売り上げを増やせるか、目利きの力を養っていきました。商売は論理的に考えても分からないことが多いですから」

――1983年にカプコンを創業。ヒット作を生み出すためにどんな施策をとってきたのでしょう。

「ちょうど83年に任天堂の『ファミリーコンピュータ』が発売されましたが、当時はまだゲームセンター用のゲーム機が主流でした。ただ、しばらくヒット作が出ない時期があり、デザインや音響の担当者に聞くと、ゲーム機に組み込むメモリーの容量が足りなくて、他社と似たようなゲームしか作れないと言うのです」

「そこで、必要な容量を聞き取り、それをまかなえる小型化したチップが作れないか、リコーに依頼しました。完成までに6カ月ほどかかりましたが、これで世界の誰もまねできないような高性能のゲームを作れるようになりました」

「開発陣には、とにかく最先端の技術で最先端のゲームを作るんだと言ってきました。織田信長が渡来したばかりの火縄銃を使って、最強と言われた武田軍の騎馬隊を破ったのと一緒ですね。相手が持っていない最先端の技術で攻めれば勝てる。2016年に約100億円を投じて最先端の開発施設を建設したのもその一環です」

■売上高を3つの視点から分析

――世界展開も早かったですね。

「当初からゲーム業界で生き残るには世界ブランドを目指す必要があると思っていました。特に本場である米国には85年に現地法人を設立し、認知度を高めてきました。その効果もあって『ストリートファイター』の実写版のハリウッド映画を94年に公開することができました」

「当社が40億円の製作費を全額出資しました。ゲームの世界を忠実に再現したかったのと、映画製作の現場を学びたいと思ったからです。いまだに関連収入がありますし、世界中で知ってもらうきっかけになりました。その後、他のゲームの映画化でも知見が役立っています」

――ゲーム会社はヒット作の有無が収益に影響しがちです。経営トップの役割は。

「やはり数字を重視することです。菓子卸をしていた頃、手形を切って運転資金を確保していました。支払期日がいくつも重なり、常にカネのことを考えていました。数字が分からないと商売はできないと実感したことが背景にあります」

「いま、当社の会議資料は数字ばかりで文章はほとんど入っていません。言葉を通じてなら考え方などは分かりますが、実態を把握するのには向いていないからです。経営リスクを社員全員が認識できるよう、重要な経営指標を定めています」

「具体的には損益計算書の項目ごとに、前年比、計画比、売上高に対する構成比の3つの数字を時系列で並べて見る。それを基準にソフトの開発計画や値下げのタイミングなどの販売戦略を練ります。悪いところを数字で見つけて、どう改善すべきか考えるのが経営者の役割です。うまくいっているところは放っておいてもいい。その意味では、トップの仕事は面白いことなんてほとんどないと言っていいかもしれません」

――リスク管理も重要ですね。

「2010年ごろから、スマートフォン用ゲームが流行した際、電子くじ(ガチャ)でもうけた企業は大きく業績を伸ばしました。当社は、当選率が不明瞭なガチャは顧客から必要以上にお金をもらうことになり、市場をつぶしてしまうと考え、注力しませんでした。最先端のゲームづくりに専念しました」

■失敗は生かすが、終わったことは忘れる

カネをかけても高いスペックの製品にこだわる
――開発者が面白いソフトを作れる環境づくりで意識していることはありますか。

「最近はゲームの内容についてあまり口は出しません。会社が大きくなり、優秀な人材が集まってきます。自由にやらせていれば自然といいものができる。ただし、他社に負けないスペックの高いゲームを作ることにはこだわる。時間や資金はたくさんかけてもいいし、人員のバックアップは任せろと言っています」

「18年1月に発売した『モンスターハンター:ワールド』は、大画面の60インチの4Kテレビで迫力のある映像になるように指示しました。その結果、世界中の人に受け入れられ、18年9月末での販売本数が1070万本に上るヒットになりました」

――自由にやらせるだけで売れるソフトができるのですか。想定通りにいかないことも多いのでは。

「若い社員は小さいころからゲームで遊んでいるので、感性ができあがった状態で入社してきます。ベテランの社員よりもむしろゲームを知っており、専門的なソフトの作り方さえ学べば即戦力になります。下請けはなるべく使わずに、体力や知識欲のある若手にどんどん開発現場を任せて質の高いゲームを作るようにしています」

「もちろん、失敗作もたくさんありますよ。良い作品でなければ売れない。ゲーム業界の厳しい現実は骨身に染みています。ただ、失敗するのは新しいことに挑戦するからでもある。失敗は経験値として残し、次の機会に生かせばいいのであり、私は終わったことはなるべく忘れるようにしています」

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO40153630X10C19A1000000

 

 

sakamobi
sakamobi

>当選率が不明瞭なガチャは顧客から必要以上にお金をもらうことになり、市場をつぶしてしまう

素晴らしいリスク管理やね👍👍👍

 

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