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油まみれの最高ランクA5牛肉まずいという男女が増える 高齢化や赤身肉ブームの影響

   

油まみれの最高ランクA5牛肉まずいという男女が増える 高齢化や赤身肉ブームの影響

A5和牛の「最高級神話」が消えつつある事情
脂肪比率「約5割」の肉は本当に美味しいのか

高級牛肉のイメージが揺らいでいる。脂肪が豊富な「霜降り肉」の代表格「A5」はグルメ番組でも依然として高価で美味(おい)しいともてはやされてはいる。が、消費者の味覚はすでに変わり始めている。そして、「A5」を目標にしてきた生産者の畜産業者も、今では「A5伝説」が自縄自縛となり、苦境に陥るという現実に直面している。

東京・六本木を中心に展開する牛肉焼き肉レストラン「格之進」の週末は、予約の取れない状態が続いている。この店の売りは「門崎熟成肉」。岩手県南部の一関市周辺の牛肉を、骨が付いた枝肉のまま吊るして熟成したり、骨を外した肉を店で特殊な方法で追加的に熟成したりした肉である。「A4」「A3」のメス牛を中心にした赤身肉が多い。

格之進を運営する門崎(本社・岩手県一関市)の代表取締役・千葉祐士さんは「最高ランクのA5の肉が必ずしも美味しいわけではありません。A4やA3の肉でも熟成させ、焼き方を工夫すればとても美味しいお肉になります」と言う。

千葉さんは1999年に地元一関で格之進の第1号店を出店し、2007年に東京に進出した。今では都内に7店舗と中央自動車道・談合坂サービスエリアに店を持つ。脂肪の「サシ」があまり入っていない赤身肉を提供する牛肉レストランであることが支持を受けているのだ。

脂肪分が増えすぎると、肉の「うま味」にも影響する

そもそも、「A5」が最高ランクの肉と言われるようになったのはなぜなのか。

肉の格付けは、生牛から皮や骨、内臓などを取り除いたときの肉が多いかどうか(歩留等級)で、A~Cが決まり、そのうえでサシがどれだけ入っているかという「脂肪交雑」や見た目の色など(肉質等級)によって、5~1にランク付けされる。格付けではA5が最高ランクとなり、日本では「霜降り肉が美味しい」と重宝される傾向が強いので、美味しい牛肉の代名詞となった。

だが、サシが多ければ多いほど肉が美味しいかというとそうでもない。脂肪分であるサシが増えると肉は軟らかくなり、食べやすい。口の中でとろけるような食感も味わえる。一方で赤身部分にあるグルタミン酸やイノシン酸などのうま味成分が減っていく。美味しく感じるには脂肪とうま味成分のバランスが大事なのだ。

専門家は脂肪の比率が30%ほどになれば美味しいと感じる人が多いとみているが、いまでは50%程度の肉も出回っている。サシが多い「A5」がうまいという神話が定着したことで、いまや度を過ぎた脂肪比率に上がってしまっているのかもしれない。

「A5」には美味しい肉が多いかもしれないが、必ずしも美味しいかどうかはわからないのが実態だ。過剰にサシが入った場合はうま味成分が少ないうえに、脂肪が多すぎて胃がもたれることもある。

消費者の好みも変わってきた。高齢化が進んだことや、脂肪分が多い肉より赤身肉を食べたほうが体によいという健康志向の高まりによるものだ。2009年ごろからは「赤身ブーム」が起きた。

21世紀に入って以来、好みが霜降りから赤身へと移行する傾向は強まっている。格之進の人気も、赤身肉へ消費者の嗜好が移っていることを示してもいる。

ただ、消費者の嗜好が変わりつつあるのに、生産者の変化はまだ鈍い。

それでも畜産業者が「A5」生産にこだわるワケ

農水省畜産部長を経て、現在は畜産環境整備機構副理事長の原田英男さんは「黒毛和種で去勢した雄牛でみると、最近ではA4、A5がほぼ8割という状況で、いわゆるサシが多い肉が増えている」と言う。かつては、A4、A5の上物に希少性があった時代があった。だが、その当時から今に至るまで、希少性がなくなるほどに生産者は牛肉にサシを入れ続けているといえる。

なぜだろうか。牛1頭の値段は重量と単価の掛け算で決まる。重量は1頭当たりの肉の量、つまり歩留等級(A~C)に左右され、単価は肉質の等級(5~1)で評価される。だとすれば、A5の肉が市場でいちばん高く売買されることになる。生産者がA5を目指し、食欲増進のためにマッサージをしたり、飼料を工夫したりするのは経済合理性において正しい行動である。

だが最近は状況が変わりつつある。A4、A5の上物が8割程度になってしまい、昔ほど希少性はなくなった。すると、価格が相対的に下がっていく。これもまた、経済合理性である。

原田さんは「2016年度と12年前の2004年度を比べると最高級の肉の値段は下がり、最高級とその下の肉との価格差は大幅に縮まっている」と指摘する。いまや飼料におカネをかけてA5を目指しても、それに見合った価格での取引が実現しにくくなっている。現実の市場環境とそぐわない「A5伝説」が畜産農家の首を絞めているのかもしれない。

追い打ちをかけるのが子牛価格の上昇である。肥育農家が買い取る子牛価格は2012年以降に上昇し、2012年に1頭40万円ほどだった子牛価格(黒毛和種)は2016年には85万円となった。

仕入れ値が高くなっているのに、それに見合う形では最終販売価格が上がらないのだから、畜産農家の経営は苦しくなる。畜産農家が減り続けるゆえんである。

千葉さんが赤身肉に注目したのは、当初、畜産(生産)から焼き肉レストラン(販売)までの一貫生産を目指したからだ。牛を育てるのにいくら努力しても必ずA5の肉と評価を受ける牛が育つわけではない。同時にA4もA3の牛も育つのが現実である。

畜産業の未来のために必要なこと

A5だけがレストランで高く売れても、A4、A3が安く買いたたかれてしまえば、一貫生産の収益性は高まらない。そこからA4、A3の肉でも美味しく食べる術を考え抜き、たどり着いたのが熟成肉だった。いわば生産と販売が連携する6次産業化の試みだった。

1999年に故郷の一関で「格之進」を開店してから20年近くが経った。千葉さんは「いまでは岩手県南部の畜産農家とネットワークを築き、A5だけでなくA4、A3でも収益を上げられる6次産業化の形が見え始めた。一関と東京を食でつなぎます」と言う。

健康志向が高まった消費地では、A5だけではなく、赤身肉も美味しく食べる工夫が必要であり、生産地ではA5だけを目指すのではなく、赤身肉でもそれなりの収益が出る仕組み作りに挑戦する必要があるのだ。

原田さんは言う。「消費者の好みに多様性が生まれている。だから産地にもA5だけを目指すのとは違う、多様性が求められているのです」。

多様性のない産業は、時代の変化に追随できずに衰退していってしまうのが道理だ。畜産業もまた同じなのである。

http://toyokeizai.net/articles/-/179161

本当に美味いのは赤身。これ俺はずっと主張してた( ー`дー´)キリッ

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